無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

家族の肖像。

 救いのない映画、っていうか、とにかく出てくる奴出てくる奴ろくなもんじゃない。みんなイカレてる。しかしみんな普通に生活を営み、普通に悩みを抱える普通の市民なのだ。
 よくわからんけど、これ見て泣く人間ているのかな?僕はとにかく笑っていたんだけど。要するにアメリカ人が描いたホームコメディーなんだよこれ。一般的な中流家庭の崩壊というテーマのもとに、イカレた登場人物達が一生懸命生きながらも笑ってしまう、という。久世光彦からお笑いを取ってコメディーだけ残したようなものか。まあ、そういう映画だと思う。つまらなくはなかったけど、特に感動するわけでもなかった。特別に感情移入できるキャラクターがいるわけではない代わりに、どの登場人物にも少しづつ自分と重なる部分があって、それをひとくくりにすると結構心に引っかかる、って感じかな。
 繰り返すけど、出てくる奴みんな変だ。イカレてる。僕やあなたがイカレてるように。この映画が素晴らしいとするなら、それに尽きる。