無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

■2000/07/03@Zepp Sapporo
無駄に音がでかくて、こけおどしっぽいライブは嫌いだ。そしてこの日のミッシェルはここまででかい音のライブは初めてかもってくらい、でかかった。しかしそれはこけおどしでもなんでもなく、必然だったと思う。そうでなければならなかったのだ。
 『ギヤ・ブルーズ』をさらに押し進めてロックンロールの極点に達しようとした『カサノバ・スネイク』。「夜明けのボギー」を抜かしてその全ての曲を演奏するこのライブでは通常の音圧では足りなかったのだ。アベのギターは何のコードを鳴らしているのかわからないほどだし、チバのボーカルもドラム、ベースの低音に隠れてがなっている事しかわからない。音の輪郭が崩壊して剥き出しの無防備となったロックンロール。見えるのはその中枢のエネルギーのみ。この日ステージの上で彼らが鳴らしていたのはロックンロールの骨格が軋む音だった。新曲を交え、「バードメン」「カルチャー」「CISCO」「G.W.D.」といった旧曲を含めて90分のステージ。僕はとてつもない音圧の波に溺れ、もがくことしかできなかった。今日誰よりもロックンロールを求めていたのはステージ上の4人だったのだ。
 『カサノバ・スネイク』を聞いた時の予感は当たっていた。ミッシェルのライブは、本当にとんでもないものになっていた。