国内活動停止から復活した
ズボンズの新作。今回も素晴らしいロックンロールを聞かせてくれるのだけど、天井まで突き抜けるような怒涛のファンキーグルーヴを期待すると、やや当てが外れる。そういう曲ももちろんいくつかあるのだけど、全体のイメージとしては意外ともっと落ち着いた感じなのだ。それはパワーが落ちたとか言うのではなくて、狙いが定まったからだと思う。闇雲にエネルギーを放出するのではなく、一点集中で深いグルーヴを叩き出すこと。このアルバムで
ズボンズが突き抜けて見せたのはまさにそれだと思う。彼らがやろうとしているのはそれこそ60年代、
ストーンズなどから脈々と続くロックのグルーヴを獲得しよう、
サヴァイヴしていこうということだ。それがレイドバックしたものにならずに聞こえるのは彼らのセンスと、ロックンロールに対する信頼によるものだと思う。このアルバムのベストナンバーははじけたロックナンバーではなくて、ミドルバラードの"Nobody Like You"だと僕は思うのだけど、こういう曲をここまでカッコよく、深く鳴らせるのは本当に、グルーヴそのものが血として流れてるような感じがして、感動してしまう。
シンプルでピュアなロックンロールは常に時代と向き合えるのだということを改めて感じさせてくれる快作であると思う。