無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

シャフト

シャフト [DVD]

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 この映画と71年の『黒いジャガー(原題:SHAFT)』の関連についてはここで僕が言ってもしょうがないので言わない。なぜならそもそも僕は『黒いジャガー』を見た事がないのだ。『黒いジャガー』のシャフト役だったリチャード・ラウンドトゥリーが本作の主人公シャフトの叔父さん役で出てるとか、『黒ジャガ』を知ってる人ならニヤリとするであろう設定もあるわけだけど、仮に全くそうしたバックグラウンドを知らなくてもこの映画は充分に面白いと思う。
 サミュエル L・ジャクソンがカッコイイ。とにかくカッコイイ。アルマーニのコスチューム、クールでキメキメのセリフ、銃を構えるポーズ、どれもこれも一歩間違えばかなりヤバイものなのに全く寒いところがない。映画全体を覆う胡散臭げでファンキーな匂いも良い。徹底的に白人が悪として描かれているのもわかりやすくてグー。久々にヒーローものの爽快感を味あわせてくれる(いい意味での)B級アクションムービーだ。黒人差別へのメッセージ性を含むラストは、多少ヘヴィーで考えさせるものになってはいる。けれども、主人公であるシャフトはそんなことなかったかのように今日もファンキー明日もファンキー。そんなこと今さら言ったってしょうがねえだろこの世がクソだなんて分かりきってんだよだから俺は俺のやりたいように俺の道を行くぜベイビー。シニカルもブルースも抱えた上でのファンクネス。例えばファンカデリックパーラメントといったバンドのこれでもかというバカバカしさに泣けるほど楽しくなってしまうのはそうした二面性ががあるからだ。この映画にもそれがある。もっとスタイリッシュではあるけれども。「名作」には決してなり得ないけど、こういう映画がないと人生は楽しくない。そう思わないかベイビー?