無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

Songs of the Siren

Songs of the Siren

 ジェットコースターのように次々と音とメロディーとリズムの洪水が押し寄せてくる。これらの曲が全てキャプテンファンク=オオエタツヤの手によるものである。驚きだ。そして、このアルバムではサンプリングが全くクレジットされていない。ダブル驚きだ。プログラミング、それ以外の生楽器、ボーカル以外のほとんどのパートを彼1人でやってしまっているのだ。ただのDJじゃない。驚くべき才能に恵まれたアーティストである。
 ロック、ダンス、テクノ、ファンク、ジャズ、このアルバムには様々な音楽の要素が詰まっている。こういう、音楽見本市のようなアルバムを作るとどうしても全体の印象が散漫になりがちだが、このアルバムは違う。オオエタツヤという人間を中心として全ての音が同心円上に広がっているような、そんな感じなのだ。全ての一音一音に貫かれた美学とこだわりに圧倒される。まさにディスイズキャプテンファンク。80分間世界一周とでも言うような、すごい密度と満足感を与えてくれる。