車に関する曲を集めた企画盤。とはいえ、オリジナル未収録だった「月を越えろ」も入っているし、
PUFFYに提供した「サーキットの娘」「日曜日の娘」、
ユニコーン時代の「ターボ意味なし」のセルフカバー、新曲も4曲あり(「トランスワールド」は名曲)とファンサービスも充実の1枚。車がテーマと言っても、ハイウェイを高速でブッ飛ばすような爽快感とは無縁である。ガソリンがなくなったり、道は曲がりくねっててデコボコで、おまけに渋滞にもつかまる。どうにもうまく行かない。それはなぜかと言うと、生きるということがそもそもうまく行かないものだからだ。人生は孤独なドライブなのだ。
奥田民生という人は、一度だってそこから目をそらしたことはない。だからこそ彼の音楽はいつだって信用できる。お気軽に作ったと言えなくもない企画盤が、結果として彼のミュージシャンとしての表現の本質に迫ってしまうのだから面白い。
ホント、そろそろダラダラとか飄々とか、そういう形容だけで
奥田民生を語るのはやめていただきたい。雰囲気としてそう言いたくなるのもわからないではないけれど、その裏にあるものはあくまでシリアスであり、真摯に音楽に向かっていることを忘れないでほしいのだ。