無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

サクラ大戦3

サクラ大戦3 巴里は燃えているか

サクラ大戦3 巴里は燃えているか

 セガサターンソフトの中でも強い人気とセールスインパクトを持っていたこのシリーズ。最新作は当然、ドリームキャストのキラーソフトとして切り札になるはず…だったと思うのだが、この「3」が発売された時には既にハードが生産中止とは。全くもって世の中というのは皮肉なものだと思う。
 しかし、さすがこの『サクラ大戦3』は、ドリームキャスト最後の意地というか、待たせただけに素晴らしいクオリティを誇っている。サターンから圧倒的に向上したグラフィックは圧巻の一言。アニメーションとCGが見事に融合したムービーシーンもさることながら、戦闘シーンにおけるキャラクターの滑らかな動きはかなり驚く。アドベンチャーシーンのマップなどにも手抜きがなく、非常に丁寧に作りこまれている。おなじみのミニゲームもそれ自体やり込めるので、エンディングを見た後もしばらくは楽しめる。システム自体はほとんど変化はないが、充実した内容と言えるだろう。ただ、敵役が今ひとつ絶対的に強そうに思えなかったのと、ラスボス戦が意外とあっさり終わってしまったのが残念といえば残念ではある。
 実は僕はこのサクラ大戦シリーズに関しては特に思い入れのある、お気に入りのキャラクターがいるというわけではないので、『ときメモ』とかそういう種類のゲームをやる時とはちょっとスタンスが違う。では、何が僕をここまで萌え燃えさせるかと言うと、それは古き良き、オーソドックスなアニメ番組の匂いをこのゲームから感じるからだ。ノリのいい、覚えやすいメロディーの主題歌。仲間、友情、愛、正義、勝利という王道のストーリー展開。めちゃカッコいいメカの嵐。こういったもの全てが、ふつふつと僕の血を熱くさせるのである。このゲームで僕が一番盛り上がるのは、エピソードが終わった後の次回予告シーンである。およそ30秒の限られた時間の中にめまぐるしく挿入されるムービー。一体次回何が起こるのか、そのハラハラドキドキ感と、ラストにお約束の決め台詞。もうこれがたまらないのである。特に第7話、帝国華撃団のメンバーが登場する回の予告は最高だった。背筋にゾクっときたね。このように、お約束をお約束としてかっちり引き受けて不器用とも思えるほど直球のエンターテインメントを提示する。これがサクラ大戦シリーズの最大の魅力だと僕は勝手に思っている。
 どう見ても「4」があるとしか思えないエンディングだったのだけど、やはりそれはPS2で出るのだろうか。個人的には、こうなったらサターン、ドリキャス系のゲームはガンガンPSに移植してやればいいと思う。ぬるま湯につかっているコナミナムコの目を覚まさせてやってほしい。