無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ロックと夢と恋と。

 若干15歳にしてローリングストーン誌のライターとしてデビューした監督の自伝的映画。主人公がツアー同行記を書くバンドとそのメンバーとの友情、そしてそのグルーピーの一人である美しい少女、ペニー・レイン(ケイト・ハドソンが可愛い!)への淡い恋心を中心に物語は進む。
 ツアー中のバンドのいざこざやさまざまなハプニングなどはロックファンならどこかで聞いたことがあるようなもので、ユーモアたっぷりに描かれている。かなり美化されているんじゃないだろうか、と思う部分は多いが、まだロックが純粋な「夢」を持つことを許された時代へのオマージュ、と考えるべきなんだろう。その時代の当事者であった監督自身のロックへの愛情が全編に溢れている。劇中で使われる数々のロックナンバーがこれまたいちいちツボで、見終わったその足で当然のようにサントラを買ってしまった(笑)。
 ロックが思春期の音楽だと強調するつもりはさらさらないが、青春時代の甘酸っぱい記憶の隣にいつもロックがあったような人間にとって、この映画は必ずさわやかな感動を残してくれるはず。ホントに、後味のさわやかな映画だった。邦題を除けば(笑)。