無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

デーモンは素顔を隠す。

GORILLAZ

GORILLAZ

 デーモン・アルバーンという人はなかなか自分を見せない人だ、という印象が僕にはある。ブラーの楽曲にしてもその曲の中の主人公たちが織り成すドラマを客観的な視点で語ったものが多く、その中に彼自身のエゴを巧妙に織り交ぜているという感じがしていた。ただ『BLUR』以降、特に『13』というアルバムはデーモンという人間そのものが前面に出てきた作品だと思う。けれども何かこう、ちょっと無理してるような、逆に歯止めがきかなくなるくらいさらけ出しちゃってないか?とも思っていた。そこに出てきたのがこのプロジェクト。自分を隠すと言う意味では究極だろう、アニメキャラを使った覆面バンド、ゴリラズの「デビューアルバム」だ。
 アニメキャラの後ろに隠れて、デーモンは実に楽しそうだ。肩の力が抜けて、引き過ぎず押し付け過ぎず、いいバランスになっている。ダン・ジ・オートメーターによるダビーなバックトラックもメチャメチャ気持ちいい。こう言っては何だが、ここ最近のブラーよりも全然お気に入りだ。ブラーのメロディーラインがデーモンのものだということもよくわかる。実に楽に聞けてしまう、そのユルさが引っかかる人もいるかもしれないが、次のブラーに向けてのリハビリと思えば、これでいいんじゃないかと思う。