無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

フォースと共にあらんことを。

 これ見たら、「ファントム・メナス」なんか鼻クソでしょう。面白かったです。EP1〜3の新3部作は、すでにわかってしまっているEP4〜6のストーリーへいかに矛盾なく辻褄合わせて橋渡しするかという至上命題があるわけで、物語的に意表を突く突飛な展開は期待できない、という大きな問題がある。見る側にとっては「ああ、なるほど、これがこうなってああなったのか」という長いスパンの確認作業の意味合いが強い。しかしそれでも、このEP2は重要な謎がいくつも一気に解けたり、ビジュアル的にもその後につながる細かい部分がいろいろ出てきて、それだけでかなり興奮できる。本作の大きなキモは後の帝国軍につながるクローン軍の権力をパルパティーン(=後の銀河皇帝)が手にするという部分で、それに至る影の陰謀と、運命がグググッと動いていくダイナミズムがとにかくいちいち盛り上がる。ドラマとしては単純なストーリーなわけだけど、そもそもスターウォーズって単純な話なのだからこれでいいのだ。アナキンがダークサイドに落ちていく過程はまだはっきりとは表れない。しかし、その予兆はいろいろ出てくる。旧3部作で、ルークがダースベイダーに親子だと告白され、一気にダークサイドへと落ちかける『帝国の逆襲』にかぶる描写が多いのも象徴的。
 そして今作のメインイベントは何といってもヨーダ。彼がジェダイ・マスター中のマスターであることは頭でわかっていても、本当にこいつはそんなにすごいヤツなのだろうかという疑念を一瞬で吹き飛ばしてしまう圧倒的なバトルシーン。はっきり言えば、ここを見るだけで1800円払う価値はあると思う。フルCG であるからこそ可能な超高速戦闘ヨーダ。思わず息が止まるほどのカッコよさだった。これに限った話ではなく、ルーカスがILMを作って開発してきた数々の新しい映像技術は、彼の頭の中にある映像を具現化するという、その目的のためだけに用いられている。実に正しい。カーチェイスから宇宙船のバトル、ドロイド工場のアクション。そしてコロシアムでの大激戦は、ルーカスの尊敬する黒澤明の「七人の侍」を彷彿とさせる。EP1など比べ物にならないほどの見せ場の連続。つまらないのはアナキンとアミダラのロマンスの部分くらい。
 なんだかんだ言って見てしまうし、見てしまえば結局次作が楽しみになるのだった。