無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ボーン・アイデン&ティティ

 実は15年前にもアメリカでテレビドラマとして放映されたことのある原作が元になっているそうですが、案の定僕は知りません。ただ、記憶を無くしたスパイもの、というアイディア自体はいろいろな所で見るものではあると思います。
 半死半生で海に浮かんでいるところを漁船に助けられた男は、記憶がなかった。自分は一体誰なんだ?ケツには銀行の口座番号が記されたカプセルが埋め込まれていた。その銀行に行ってみると、莫大な金と複数のパスポート、銃があった。ジェイソン・ボーン?それが自分の名なのか?…と言った感じで観客は記憶のないマット・デイモンとともに記憶探しの旅に出ることになる。その謎解きが軸で、そこに、彼の命を狙うCIAの雇った殺し屋との対決が挿入されて行くわけですね。アクションシーンは、マット・デイモン自身かなり気合入れてトレーニングを積んだようで、非常に見ごたえあります。記憶なくても強い。銃の腕前もピカイチ。一番カッコいいときのシティーハンターを見るようです。カーチェイスシーンも見応え十分。と言った具合に部分部分のシークエンスを抜き出せばかなり面白いのに、全体通して見るとイマイチぼやけた印象になってしまう。それは、ジェイソンがミッションを失敗し、命を狙われるきっかけになった事件、そこでなぜ彼が任務を遂行できなかったのか、その最後の謎解きがあまりに弱いから。それだけかよ、って。うそーん、何千万ドルもかけて作った人間兵器がそれで失敗しちゃうのー?みたいな。もうひとひねりあるとよかったのにな。
 ヒロインのフランカ・ポテンテも好演してましたが、個人的にはグッとくるものはなかったです。最後のとってつけたようなハッピーエンドもちょっと鼻につく。でもマット・デイモン最高!とか、単純にアクション目当てで見るには損はない映画だと思います。