青春のリグレット。
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2003/09/26
- メディア: DVD
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ジミー・ラビットはラッパーとしてのデビューを夢に見、週末のラップバトルに出場するが、白人であることからのブーイングなど、さまざまなプレッシャーからその実力を発揮できないでいる。恋人との別れ、出会い、自堕落な母親、甘い誘い、嘘。エミネムがデトロイトの町で、同じような体験をしてきたことは有名だ。ジミーとともに行動する連中は、後のD12か。ジミーにとって、そしてエミネムにとってヒップホップはクソのような現実から抜け出すための唯一の希望であったのだ。ヒップホップをロックンロールでも、サッカーでもなんでもいい、置き換えてみれば同じような若者は世界中にいくらでもいるはずだ。だからこそこの映画は青春ドラマとして優れている。エミネムファンならずとも、ヒップホップに興味がなくても共感を得られる映画だと思う。
どん底まで落ちたジミーがクライマックスのラップバトルで勝利を収めるカタルシスはたまらない。しかしそこで彼がラップするのは、いかに自分の状況がロクでもないものかというカミングアウトである。これ以上俺をバカにできるものならしてみろと言って相手にマイクを渡し、相手はジミーをディスする言葉を失ってしまう。驚異的なスキルもそうだが、冷徹なまでの自己認識とそれを恐れずに表現する開き直り。エミネムはそうやって世界を制覇したのだ。そう考えるとやはりこれはエミネムにしか作れなかった映画だろうと思う。