腑に落ちない『半落ち』。
- 出版社/メーカー: 東映
- 発売日: 2004/07/21
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横山秀夫の原作小説を『陽はまた昇る』の佐々部清監督が映画化。原作は読んでいないけれど、多分面白いんだろう。ストーリーはよくできてるし、キャラクターの描き方もそれぞれに深みがあっていい。が、それを映画というフォーマットに落とすには2時間あってもどこかをはしょらなければ物語が情報過多で飽和してしまう。どうもこの映画はそこが整理されていないようだ。物語を真実へ導くキーパーソンとして新聞記者の鶴田真由が必要なのはわかるが、上司(不倫相手?)の田辺誠一ははっきり言っていらないだろう。あと、最終的にどういう映画に着地させたかったのかがいまいち見えてこない。純粋にミステリーとして描きたかったのか、泣かせる物語にしたかったのか、部分部分で切り口が違うのでさらに発散してしまう。そしてラストに明らかになる真実も、だいぶ前から普通にわかってしまうのでどんでん返し感もないし妙にダラダラした感じになってしまう。残念。
監督の前作もそうだけど、元々面白い話を映画にするのだから普通にとればそこそこのものになるのはわかる。だけどどうもそれ以上にならない。雰囲気に流されてしまうのか、絶対的な自己主張が感じられない。手堅く作るのはいいけれど、この監督からは誰もがあっと驚くような傑作は出てこないんじゃないかなと思った。決してつまらないわけではないけれど、まさに中庸という感じの映画。テレビで流すにはちょうどいいかも。