氣志團は「永遠の16歳」というキーワードだけからすると成長していない、ずっと変わらない、というイメージがあるかもしれないが、自分達の世界を守るため、やりたいことをやれるようにするために絶えず変化と成長を求めている(求めざるを得ない)バンドだ。このアルバムでも、
綾小路翔以外のメンバーの曲が前作よりさらに増えている。綾小路作のシングル「キラキラ!」は単に卒業ソングという枠を飛び越え、高校生活の1シーンを切り取った楽曲として
ハイロウズの「青春」と肩を並べる名曲だと思うし、
星グランマニエ作の「ピーターパン・エクスプレス」も前作の「330」の二番煎じと言っては身も蓋もないが、せつな系のど真ん中を打ち抜いている。
西園寺瞳作の「
スクール・ウォーズ」は今までの
氣志團になかったテイストを持ち込んでいると思う。バラエティに富んではいるがアルバム全体通して楽曲のクオリティを維持するのはなかなか難しくなる。しかしそれでも彼らは自らの守備範囲を広げる可能性を模索し続けている。それはつまり現在の位置にとどまるのではなく、当然この先尻すぼみになるのでもなく、この音楽シーンに長く存在し続けるための戦いである。「TOO FAST TO LIVE TOO YOUNG TO DIE」というアルバムタイトルには、
シド・ヴィシャスに代表されるパンクの刹那的な燃え尽き方とは真逆の意図が込められているのだろう。このままで終わるつもりはない、という執念を感じるアルバムである。
こうしたエネルギーが
氣志團を
氣志團たらしめているものじゃないかとも思う。決して現状に甘んじることがないのだ。もがき続けなければ自分達がどこにもいけないことを知っている。そんな彼らを見ていて勇気をもらえるのは僕だけではないはずだ。ところで、ジャケットのお方は言うまでもなく、
ユニコーン『服部』のジャケットに出ていた方と同一人物なわけだけど、まだご存命だったことに少なからず驚きました。