生きることは死ぬことと見つけたり。
- アーティスト: エレファントカシマシ,宮本浩次
- 出版社/メーカー: フェイスレコーズ
- 発売日: 2004/03/31
- メディア: CD
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (58件) を見る
そして本作で彼は力強いひとつの結論に達している。「死ぬことは生きることだ」と。「歴史」はそのテーマ曲として重厚に鳴らされている。死を認識してこそ生は強く輝く。その結論は終曲「パワー・イン・ザ・ワールド」に結実する。前々作『DEAD OR ALIVE』からのロックンロール回帰モードとシンクロし、このアルバムのエレカシは歌詞、演奏、歌唱、全てにおいて彼らにとって21世紀最高のものを作り出したといえるだろう。『俺の道』はプロローグに過ぎなかった。
人間誰しも多かれ少なかれそうではあるが、宮本浩次は非常に考え、悩む人間だ。歌詞も音楽も、エレカシの辿ってきた道程は決して一本道ではない。それはファンならよく知っていることだろう。しかし、バンド編成でのロックンロールを選択してからの宮本には迷いがさほど見えない。「どうやって鳴らすか」に対して腹括った以上、「何を鳴らすか」に全力を使っているからだと思う(バンドの演奏に満足していないことは変わらないんだろうけれども)。『扉』というタイトルも前向きだ。宮本の鋭い眼光は開け放ったその扉の向こうをしっかりと見据えているのだろう。ライブが非常に楽しみだ。
蛇足になるが、もしシロップ16gが好きで、エレカシはあんまり…という方(その逆も)がいたら本作を聞いてみればいい。生と死の描き方やそこに見出す意義は基本的に同じ方向だと思う。