無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

アジカン・ビー・アンビシャス2。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 酔杯(SUI CUP)2004 〜No!Member, November〜
■2004/11/26@Zepp Sapporo
 いろんなサイトや雑誌などを見る限りどうもアジカンというバンドはライヴに関して当たり外れがあるバンドらしい。確かに、卓越した技量と演奏の完成度で聞くものを圧倒するような類のバンドではないことはわかる。今年のライジングサンで初体験した時も、ヘタではないにしても、テンションと雰囲気で乗り切る場所がないわけではなかった。そう考えるとこの日のライヴは間違いなく「当たり」だったと思う。
 新作の曲を中心に、『崩壊アンプリファー』『君繋ファイブエム』からもも代表曲を抑えた現時点でのベストヒットステージ。自分たちの武器を隠すところなく全てみせます状態の、ファンのニーズに非常にマッチした満足行くセットだった。個人的にもやってほしい曲はほとんど聞けた。彼らのステージを見るのは2度目で、最初は今年のライジングサンだったのだけど、テントの中のひどい土埃とともに印象に残っているのが最初に彼らが顔をつき合わせてオアシスの「コロンビア」を演奏していたことだった。オアシスが彼らのフェイバリットであることはアルバムを聞いても想像つくのだけど、それをああいう場所でやってしまう屈託のなさを微笑ましいと思ったのだ。彼らは年齢的には20代後半になるが、バンドとしての歴史は実際はそれほどでもなく、『崩壊アンプリファー』のレコーディングまではまともにバンド活動ができていなかったということはファンにはよく知られている。それ以降彼らはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでシーンのど真ん中に突入してきているわけだけど、無邪気にバンドを楽しむという時間をちゃんと現風景として持っていたい、というそんな意識があの「コロンビア」にあった気がするのだ。この日はその対極にある、非常にプロフェッショナルなステージを堂々と見せてくれた。彼らが自分たちがなぜこの4人なのか、なぜバンドをやっているのか、ということに非常に真摯に向き合っているバンドであることは間違いない。いいライヴだったと思う。
 正直、演奏面についてはまだ改善の余地があって、特に後藤のギターがもう少し前面に出てくればいいかなという気はする。でもアジカンを見ていると、ロックバンドというのはやはりドラムだなと思う。ギターが多少ヘロくてもボーカルが音程をとちってもドラムを中心にリズムが磐石なら聞けてしまうものだ。この日のアジカンはそこまでひどくはなかったけど、ドラムとギターとボーカルが対等になれば、どれだけすごいものになるのだろう、という気がする。これだけいい曲が揃っているんだから。
 しかし来年のツアーはなんで小さいハコばかりで回るのだろう(札幌はペニーレーン)。当然のように即日完売。あーあ。

■SET LIST
1.振動覚
2.リライト
3.サンデイ
4.フラッシュバック
5.未来の破片
6.君の街まで
7.24時
8.Re:Re:
9.マイ・ワールド
10.夜の向こう
11.ラストシーン
12.無限グライダー
13.サイレン
14.ループ&ループ
15.アンダースタンド
16.N・G・S
17.遥か彼方
18.羅針盤
19.君という花
20.海岸通り
<アンコール>
21.夏の日、残像
22.Hold me tight