無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

イースタンユースは君に語りかける。

eastern youth 〜出張劇場 2005/睦月
■2005/01/31@札幌ベッシーホール
 ベッシーホールというところは北向きの中通りに面していて、雪や氷がなかなか溶けない。この日もかなり冷え込んでいて道路はつるつるだった。アルバムツアーは既に終了しているが、唐突にアナウンスされたイースタンユースのライブ。「出張劇場」と名付けられているが、どうもツアーとは別にこうしたステージを今後は増やしていくらしい。ツアーでは回りにくいような小さな所でもやるのだそうだ。
 オープニングに出てきたのは地元札幌の3ピースバンド、The Jerry。ありがちな音でありがちな絶望を鳴らすバンドっぽい。でもコード進行は少し面白い部分もあった。もう少しメロディーを書けるといいと思うのだけど。会場では吉野寿はじめイースタンのメンバーも普通に見てました。「俺らもイースタンめっちゃ好きで。泣くよね。イースタンのライブね。…今日はタダで見れてよかったです。」というMCが一番印象に残った。よかったね、一緒にできて。
 ベッシーホールというのは札幌で活動するバンドにとっては避けては通れない舞台であって、イースタンにとってももちろんそうだったろう。彼らのライブは Zeppとかよりもベッシーやペニーレーンが似合う。客の数とかではなく、雰囲気としてそう思う。オープニングは「街はふるさと」だったし、「敗者復活の唄」や「DON QUIJOTE」、そして「矯正視力」と、新作からの曲は割と多かったはずなのだけど印象としては懐かしい曲が聞けたという感じ。特に『雲射抜ケ声』から「未ダ未ダヨ」「浮き雲」をやってくれたのは個人的にうれしかった。あのアルバム、実は結構好き。ていうかイースタンのアルバムで嫌いなやつなんてない。でもあまり聞かないアルバムというのはやはりあって、『其処カラ何ガ見エルカ』というアルバムはそれほど繰り返し聞かなかった。ので、「東京快晴摂氏零度」なんかはああ、こんないい曲だったのかという新たな発見もあり。前述のようにアルバムのツアーとかではなく、気楽にできるステージだったからだろうか、非常にリラックスした雰囲気があった。「何がいいって、酒飲めるのがいいよね。このあとどっかこっかいますから、私ら。見つけたら声かけて。36の男のねちっこさをたっぷり教えてやるから」なんていうMCもありつつ、いい感じでライブは進む。僕が2番目に好きなアルバム『感受性応答セヨ』からの2曲(ホントいい曲だね)で本編は終了し、すぐさまアンコール。「故郷」という懐かしい曲を演奏してくれたところに、この日のライブ、そして札幌という場所に対する彼らの思いを見た気がした。ありがとう。
 前回のツアーの感想に書いたように、彼らのライブというのは僕にとってはどれもこれもが特別な時間だ。もちろんこの日もそうだったのだけど、それだけではなく、なんというか、なじみの店に行ったら常連さんがいて一緒に飲んだみたいな。ああ、いい夜だったなあと一人噛み締めながら家路に着く。そんなライブだったのだ。出張劇場、これからも全国各地でこんな夜がたくさんあればいいと思う。

■SET LIST
1.街はふるさと
2.未ダ未ダヨ
3.浮き雲
4.男子畢生危機一髪
5.東京快晴摂氏零度
6.敗者復活の唄
7.矯正視力〇.六
8.DON QUIJOTE
9.ズッコケ問答
10.素晴らしい世界
<アンコール>
11.故郷
12.砂塵の彼方へ