無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

 というわけでほとんど見ていなかったオリンピックですがさすがに荒川静香の金メダルくらいは知っています。コーエンとスルツカヤのミスがあったにせよ素晴らしいとしかいいようがありません。おめでとうございます。すごいのはアゴとエラだけじゃなかったんだ!

 そして荒川フィーバーの中で一躍注目を集めている「いなばうあー」という単語ですが、これは江戸時代の朱子学者、稲葉迂斎(いなばうさい)がある寒い日、氷が張った庭の池で背伸びをした時の美しい姿勢を見て弟子たちが感服したことにそのルーツがあると言うのは有名な話です。それが形を変え、「いなばう」という動詞として日本語に残っているのです。「いなばう」「いなばい」「いなばえば」「いなばうとき」「いなばえ」というわけです。「今日はなんだかいなばうなあ」「あなたももう18歳なんだからちゃんといなばいなさい」のように使います。大阪の町中では妙齢のおばちゃんたちが「めっちゃいなばうわ〜」などのように話している姿が散見されます。

 そして、26歳のスルツカヤさんの体躯にはロシアの女性が辿る残酷な運命を感じずにはいられません。いろんな意味で涙なしには見られないオリンピックです。フィギュアのエキシビジョンはやっぱり面白いですねえ。