無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

 休日出勤だったので結果しか知らないのですが。第1回WBC優勝ですか。何はともあれ、王監督はじめ選手の皆さんはおつかれさまでした。おめでとうございます。

 日本が優勝したことももちろん嬉しいのですが、大会日程から予選の組み合わせ、審判の選出、全てがアメリカ主導の大会でアメリカが優勝できなかったことにひとつ大きな意義があると思います。願わくば、3年後にはもう少し大きな視野で大会が運営されることを。(そもそも大会そのものが続行されることも)

 一貫して注目を集めていたのは結局イチローなわけですが。多少意図的な発言もあったとは思いますが、彼の人間臭い部分がこれだけメディアで大々的に報道されることは今まで少なかったと思うので、そういう意味でとても興味深かったです。特に「このチームでメジャーを戦ってみたい」というコメントは印象に残りました。思うに、彼はこれまでの野球人生、少年野球から中学、高校野球、日本のプロ野球でも、絶対的にチームの中心だったのだと思います。自分より上手い人間がまわりにいない。自分は高みを目指しているのにそれについてくるチームメイトがいない。日本のプロにおいてもそういう感覚はあったはずだと思う。だからもっと高いレベルを求めて彼は海を渡ったのでしょう。メジャーリーグは、そうした彼の欲求を満たす部分もあったと思いますが、その裏で現実を突きつけたのだと思います。メジャーといってもこの程度かと。昨年、低迷を続けるマリナーズのロッカールームで試合前に選手たちがトランプに興じているのをイチローが叱咤するような記事があったと思いますが、その顕著な例でしょう。今回のWBCイチローにとっては初めての本格的な野球の国際大会であったわけですが、それはつまりメジャー(アメリカ)も含めて各国の野球の最も高いレベルでの戦いができる、という期待があったのではないかと。メジャーですら満足できないイチローが真っ先に出場を表明したのは当然なのでしょう。今回の日本チームは、実力、モチベーションともに彼の野球人生の中で最も理想に近いチームだったのかもしれません(考えてみれば贅沢な話ですけれども)。実際、グラウンドでこれだけ喜怒哀楽を素直に表に出すイチローを見たのは初めてでした。野球人生において「最も屈辱的な日」と「最高の日」を両方経験した彼がこの先どういうプレイを見せてくれるのか、また楽しみではあります。

 日本ハムファイターズファンクラブ会員としては、小笠原がほとんど目立ってなかったのがちょっと悲しかったです。(シャンパンかけのニュースでも全然出てきませんね。)