無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

感動の再生。

ACIDMAN LIVE TOUR “and world”
■2006/03/11@Zepp Sapporo
 前回、“equal”ツアーファイナル@渋谷AXを見た時の感想をもう一度読み返してみる。「ライブにおいて映像を用いるロックバンドとしてはこれはもう完成の域に達しているんじゃないかと思う。」「ここに至ってその表現としてはかなり「やり尽くした」感があるのではないだろうか。」と、書いている。実際、そうだったと思う。『創』から『equal』までは3部作というべきトータリティを持って進化してきたアルバムであり、ライブにおける映像も抽象と具象を自在に使い分けながら、その音楽世界をさらに広げる新たな表現として独立した意義を持つに至っていたと思う。『and world』というアルバムは、ひとつ完成したその世界観をさらに深化させつつ、さらに広く浸透させようという意欲作だったと思う。が、音源を聞き、そして今回のツアーを見た限り、これまでと大きな変化は感じられなかったというのが正直な感想だ。
 映像の使い方はさすがに堂に入ったもので、ライヴ構成の緩急のつけ方もいい。ステージ上には3人だけなのに、音圧の高さと演奏の安定度は抜群だ。イチゴ氏のMCも相変わらず(ネタ帳の存在をバラされて困惑していた)。手癖というと言葉は悪いが、高いレベルで安定したACIDMANのライヴだった。新作からの曲が多くなるのでメニューは変われど、前回のツアーで感じた感動のある意味再生産。もう一歩、突き抜けて欲しいんだよなあ。映像を使わずにバンドの音だけで一度やってみるとか、泥臭い変化も必要なのでは、と思う。
 一緒に行った連れは彼らのライヴ初体験だったのだけど、大木の(曲を聞いてどういうことを感じて欲しいか、ということを訥々と説明する)MCを聞いて「こんな生真面目なロックのMC初めて聞いた」と驚いていた。良くも悪くもそういうバンドなのである。
 あと、大木伸夫が『水曜どうでしょう』にはまっていてDVDも全部買い揃えているという事実も明らかになった。個人的にはそれが今回一番大きな収穫だったかもしれない。道産子としては嬉しい限り。

■SET LIST
1.introduction(SE)
2.world symphony
3.id−イド−
4.River
5.Swayed
6.波、白く
7.赤橙
8.プラタナス
9.夏の余韻
10.water room
11.SOL
12.季節の灯
13.リピート
14.stay on land
15.銀河の街
16.アイソトープ
17.FREAK OUT
18.ある証明
19.and world
<アンコール>
20.造花が笑う
21.飛光