無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

恐るべきポップ・チルドレン。

Whatever People Say I Am Thats What I Am Not

Whatever People Say I Am Thats What I Am Not

 雑誌を見てもレコード屋に行っても猫も杓子もアークティック・モンキーズ最高という謳い文句だらけな昨今。発売されてから3ヶ月以上経ってしまっていまさら感満載だけど言わせていただきます。いいですね、これ。
 普通20歳前後の若いバンドのデビュー作なんつうと、未熟だけど勢いがあって云々と言う感じの感想が出てきがちなのだけど、そういう免罪符からは何光年も離れている堂々たる音。おそらくは彼らのフェイバリットにはヒップホップも含まれているのだろうけど、そういう彼らのルーツをごった煮にした「ミクスチャー」な音が鳴っている。それでいて、ロックンロールとしか言えない音が鳴っている。ロックンロールって踊るための音楽なんだなってことを改めて思わせてくれた。
 レコード発売前にほとんどの曲がネットで聞けてしまうとか、そういうやり方も含めてまさに今の時代を体現しているバンドなのだと思うけど、それだけで世代の代表になれるわけはない。曲。音。やっぱりそれなのだ。かわいくないまでに完璧な13曲。僕はイギリスの若者ではないので歌詞を読んでも何のことを歌っているのかさっぱり分からないのだけど、この音に体の芯を揺さぶられてしまうことだけは確かだ。少なくともその一点において、遠いかの地と僕のいる6畳の小汚い社員寮の部屋は繋がっている。末恐ろしい。