無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

唯一無比。

ON

ON

 2004年のライジングサン、ちょうどイースタンユースとかぶっていたので僕は見ることができなかったのだけど、ブンブンサテライツを見た嫁の話によると、アゲアゲの攻撃的なモードで異常に盛り上がっていたらしい。フェスへの出演など珍しいわけではないが、その後発表されたアルバム『FULL OF ELEVATING PLEASURES』が、非常に分かりやすくロック的な展開を見せたことと、この時期の彼らのライヴが前述のようなモードだったことは決して無関係ではないだろう。
 もともとブンブンは音そのものに明確なメッセージやアティテュードを乗せるユニットであるので、踊ることを目的としたダンス/クラブシーンには居場所は無く、そうした展開は必然であったのだと思う。サウンドの強度では他の追随を許さない。そこに、分かり易いメロディを乗せ、どこまで自分たちのメッセージを広く浸透させることができるか。今のブンブンはそういうモードのなのだと思う。前作よりも歌の比重が増し、ほぼ全編歌モノと言っていいほどになったこの新作は、その振り切り方からして彼らの本気度がわかる。ギターリフとサビのメロディーは、一聴してアドレナリンが迸る。そして唯一無二なのはやはりそのビート。ロック、ポップ、ギリギリのところでバランスをとり、決して下世話にならない凛とした音像はこのビートによるものだ。孤高。