かつて「alternative」だったもの。
- アーティスト: Red Hot Chili Peppers
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 2006/05/09
- メディア: CD
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全28曲、120分に及ぶ大作を通して聞くのはかなりの集中力と体力がいる。が、このアルバムはそうしなければならない、というものではないと思う。例えば、スマッシング・パンプキンズの『メロンコリーまたは終わりのない悲しみ』のように、あの曲順で聞くことで感動を与えられるようなものではない。どの曲順で聞いてもいいし、途中でやめてまた途中から聞いてもいい。そうすることでこのアルバムの意味が変わるものではない。そのくらい、フラットに、どこを切っても高水準の曲とアレンジと演奏がある。もちろん、全体を通しての流れというものが無いわけではないが、このアルバムの意味はそういうところにはないと思う。
レッチリらしい、フリーのファンキーなベースがバキバキに跳ねる曲が少なからずあるのが個人的には嬉しい。今回はジョンのギターもかなりソロを多用しており、前作までのように実験的なフレーズやアレンジで緻密に構成しているような印象は少ない。メンバー全員が奔放に音楽をぶつけ合って完成したという感じだ。アンソニーがこんなに全編「歌って」いるアルバムも過去に例がないだろう。
レッチリというバンドが20年間で何を喪失し、何を獲得してきたのか。なぜ、この4人になったのか。なぜ今この4人でなければならないのか。バンドの歴史そのものが、どの曲にも刻み込まれている。ただただ、それが素晴らしい。レッチリがかつて醸し出していた異物感はここにはない。極めて全うなロックがあるだけだ。それを悲しむ必要など、どこにも無い。