無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

にえきらないサスペンス。

フライトプラン [DVD]

フライトプラン [DVD]

 週末、考えていた予定が悉くポシャッたため、仕方なくDVDなど借りて鑑賞していました。あまり頭を使いたくなかったので分かりやすそうなアクションとかサスペンスものを。そのうちのひとつです。
 ジョディ・フォスター主演のサスペンス・アクションもの。旦那を事故で亡くした主人公(J・フォスター)が、旦那の遺体と共に6歳の娘と一緒に飛行機でドイツからアメリカまで旅をするのですが、気がつくと娘の姿がない。一緒に乗ったはずなのに?誰に聞いても娘のことは見ていないという。挙句に、乗客名簿にも娘の名前はないという。そんなバカな?というお話です。オチとしては、娘は確かに飛行機に乗っていて、ある人物の策略で主人公は罠にはめられたというものなのですが。娘が本当に飛行機に乗っているのか?主人公は旦那を亡くしたショックで妄想にとりつかれているんじゃないのか?という切り口で物語りは進んでいくのですね。他の乗客も、添乗員も機長も、みんな徐々にそういう結論に達していく。主人公に協力するものはなく、逆に「ショックでイカレちゃったのね、かわいそうに」というモードで見られ、孤独な状態に。ここで「がんばれJ・フォスター!」と見ている側は応援したくなるのが本来のアクションもののはずなのだけど、この映画はそうはならない。娘が本当に乗っていたのかどうなのか、真犯人の存在と意図が明らかになるまではっきりと描かないからだ。これは意図的な演出だと思うのだけど、見る側としては主人公に感情移入できないので正直言ってミスディレクションだと思う。サスペンスっぽい要素を強く出したかったのかもしれないけど、もっと分かりやすく、孤独な状況に追い込まれた主人公がそれを打破して娘を助けるアクションものとして描いたほうがよかったんじゃないか(ダイハード女性版にしかならないかもしれないけど)。実際、娘の存在も、主人公を罠にかけた黒幕も明らかになった以降のアクション活劇部分はなかなか良かった。飛行機の中というある意味密室の中で繰り広げられる追いかけっこのスリルと、その飛行機を設計に関わったエンジニアである主人公が、その知識を活用して敵を欺き、逆に罠にはめるクライマックスの爽快感などは十分及第点だと思ったので、非常にもったいない。
 1時間半ちょっとで気楽に見れるので、そういう意味ではいいkilling timeでした。