無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

カッコいいとはこういうことさ。

 この間、スカパラのメジャーデビュー盤(asin:B00005G4DH)を久々に聞いてみた。やっぱりカッコよかったけど、あの当時、彼らの佇まい、シーンでの立ち位置というのは今とは少し違っていたよな、と思い返したりした。故ギムラ氏の存在や、ASA-CHANGによるバンドコンセプトが大きかったのだと思うけど、もう少しギミックに満ちていたというか、語弊を恐れずに言えばイロモノ的というか、明らかに浮いていたと思うのだ。よく考えればかなり大きな変化を辿ってきたバンドだと思う。
 前回の歌モノ3部作はかなり男臭いコンセプトで貫かれたものだったけれども、今回のシングル群はもっとチャーミングで、彼らのマッチョなイメージの裏にある繊細な部分を打ち出したものになっている。聞いていて、優しく、幸せな気持ちになれる。アルバム全体も確かにピースフルな印象ではあるのだけど、力強く、攻撃的な部分もある。思うに、彼らのいう「PEACE」というのは、どこかから降って湧いてくるようなものではなく、己の意思で何が何でも掴み取るものなのだろう。それを阻害するものは力ずくで排除し、戦うのだという決意。それがあるのである。だから「WILD」なのだろう。彼らのライヴはまさにその意思を表したものになっていると思うし、それを音源としてパッケージした最新版がこれ、というわけ。特別なことをしてるわけではないのに、すごく特別なものに聞こえる。