無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

廻る、巡る、その核へ。

ACIDMAN LIVE TOUR “green chord”
■2007/04/14@Zepp Sapporo
 新作『green chord』を引っさげてのツアー。新作も充実した内容だったし、ファイナルには初の武道館公演ということで、かなり気合の入ったステージになるだろうことは予想していた。その気合はステージの演出にそのまま現れていた。彼らのライヴにおける重要な要素であった、スクリーンへの映像が無かったのだ。バックにはカーテンがあるのみで、そこにいつものように映像が映し出されることは無かった。サウンドと映像が渾然一体となってそのプログレッシブな世界を具現化するのが彼らのライヴの醍醐味であったと思うのだが、その片方をばっさりと切り落としてしまったことで、ライヴバンドとしての彼らの素の力が剥き出しになってしまうようだった。

 前半は新作からの曲を中心に、激しくも洗練されたアンサンブルでじっくりとフロアを引き込んでいく。「季節の灯」までで大きく前半が終了し、2曲のインストを挟んで後半という流れ。懐かしい曲も交えつつ、クライマックスに向かう。個人的には「アレグロ」を演ってくれたのが嬉しかった。「イコール」から「懸命の銘」までで一気に熱を放出し、「calm」でその温度を一気に静まらせるような、それでいて高いテンションを孕んだような空気を作り出す。イチゴ氏の印象的なドラムが静かに鳴り響き、これで本編終了でもいいくらいの空気の中、これでもかと新作のテーマ曲と言ってもいい「toward」でさらにその世界観をぐいぐいと見せつける。圧巻の本編ラストだった。 
 MCでは大木とサトマがイチゴを和気藹々と仲間外れにするなど微笑ましい(?)雰囲気だったが、ライブの核となる部分ではかなり気合の入ったステージだったと思う。武道館ではこれまでのように映像を使ったり、ストリングス隊が出てきたりとかなり大掛かりなライブだったようだが、その前にバンドだけでどこまでやれるのか、という力試しのようなステージだったのではないか、とも思う。やっぱり律儀なバンドだと思う。

■SET LIST
1.green chord(SE)
2.Returning
3.Ride the wave
4.アイソトープ
5.River
6.千年歩行
7.REAL DISTANCE
8.スロウレイン
9.So Far
10.季節の灯
11.Dawn Chorus
12.Walking Dada
13.プリズムの夜
14.イコール
15.波、白く
16.アレグロ
17.ある証明
18.懸命の銘
19.calm
20.toward

21.造花が笑う
22.飛光