プロの女として。
- アーティスト: 椎名林檎×斎藤ネコ,カリソメオーケストラ,ナダタルオーケストラ,マタタビオーケストラ,コノヨノオーケストラ,コマエノオーケストラ,ノラネコオーケストラ,アノヨノオーケストラ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2007/02/21
- メディア: CD
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僕は「さくらん」については、原作も映画も未見で、江戸吉原を舞台にした花魁ものであるというくらいの知識しかない。ストーリーも当然、知らないのだけど、一人の少女が大人の女性に成長し、花魁になる物語、なのかな、と想像してみる。それは、椎名林檎がデビューしてから現在までに経験した様々な出来事や彼女の抱えた苦悩や葛藤と、少なからずリンクする部分があったのではなかろうかとさらに想像する。徹頭徹尾、女性が世の中で生きること、が歌われているのだ。意図的に、そういうアルバムとして作られていると思う、これは。彼女が過去に創った楽曲を使用したいというのは、映画を監督した蜷川実花の希望だったそうだが、なんとなく判るような気がするのである。
そして椎名林檎は、そんな監督の思惑を知ってか知らずか、実にプロフェッショナルに本作を制作している。「この世の限り」がエンディングに流れたら、(未見だけど)かなり感動的な空気がそこに流れるんじゃないのか、と思うのだ。映画音楽は映像よりも前に出てはいけない、というルールの下に彼女は本作を作っているような気がする。だからここにはソロアーティストとしての椎名林檎の現在形は現れていない。でも、東京事変ではない、椎名林檎名義の作品(正確には連名だが)が世に出たことは小さくない意味があると思う。