無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ハレのシンボル。

■TOYKO SKA PARADISE ORCHESTRA 2007 SPRING TOUR
■2007/05/18@Zepp Sapporo
 2007年、スカパラ春のツアー。先に出たベスト盤のプロモーション的な側面もあるツアーだと思うのだけど、そのベスト盤というのは非常に濃い内容だった。1998年から2007年までのベストということになっているが、その間には例のボーカルコラボ3部作×2があり、レコードセールス的にもライブとしても充実している時期だからだ。スカパラのライブが楽しい!という一般的なロックファンの認識が生まれたのもこの10年間のことだと思うが、それはこの10年でロックフェスというものが定着し、その中でスカパラのパフォーマンスが日本におけるロックフェスの盛り上がりを一種象徴するような、相乗効果があったのではないかとも考えられる。その間バンドにとっては青木達之の死という悲しい事件もあったわけだが、その後に入った茂木欣一カトウタカシを含め、現在のスカパラのラインナップが定着したものこの時期のことだ。やはり濃い10年間だったのだなと思う。
 しかしライヴとしてはそんな過去を振り返る的な雰囲気は全く無く、今年も夏のフェス、そしてヨーロッパツアーに向けてテンション上げていきますというような、熱の入ったステージだった。「太陽にお願い」から始まり、「(WE KNOW IT'S) ALL OR NOTHING」、そして「DOWN BEAT STOMP」で早くも最初のクライマックス。新曲も交えつつ、「Natty Parade」、「銀河と迷路」、「フィルムメイカーズ・ブリード」などを含めた中盤。メロウな曲をやっても場が冷めることはなく、次の盛り上がりに向けて力を溜めるような熱さが会場中に漲っている。スカパラのライヴはステージのメンバーもだが、それ以上に客のテンションの高さが異常である。「絶対に楽しいんだから精一杯楽しんでやろう」という、貪欲さがありまくりなのだ。当然、フロアには友人に連れられてきましたというような、あまりスカパラを知らない人もいるわけだが、問答無用で躍らせてしまう。このパワーはやはりすごい。「Come On! 」〜「ゴッドファーザー愛のテーマ」と続き、本編ラストの「White Light」まででバケツ一杯分の汗をかいたのではないかというくらいの運動量。アンコールは「ルパン三世」、「SKA ME CRAZY」でもうひと盛り上がり。最後までハイテンションなライヴだった。
 今年のライジングサンでは両日共に違うステージで出演という、相変わらずのホストバンドぶり。ライジングサン参加者とこの日の客ではかぶり率も高いと思われるが、フェス前の前哨戦として、期待を裏切らない盛り上がりを見せてくれたという感じのステージだった。スカパラがロックフェスの象徴であるとするならば、スカパラのライヴはそれそのものがプチフェス的なハレの舞台を表出させるものなのだと言える。要するに楽しいって事だ。