無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

グラスゴー産の新種。

コステロ・ミュージック

コステロ・ミュージック

 iPodのCMに使用された「Flathead」でKOされ、速攻でゲットしたザ・フラテリスのデビューアルバム。ルーズな感覚を残す音ではあるのだけど、リズム自体は非常にタイトだし、フックありまくりのメロディーはいちいち耳をひきつけるし、ロックンロールとしての完成度は非常に高い。どの曲にもポップな仕掛けがしっかり配置されていて、飽きない。アークティック・モンキーズなんかを聞いてても思うんだけど、ストロークス以降のいわゆるロックンロール・リバイバル的な風潮が終わり、最初からロックンロールありきの前提から生まれてきた音という気がする。歌詞を見ると、かなり悲惨な日常だったり物語だったりが語られているのだけど、音楽自体からは湿っぽさや貧乏臭さは殆ど感じられない。惨めなストーリーを「そんなこともあるよな」と笑い飛ばしてしまうユーモアと突進力に満ちている。
 どこか泥臭い雰囲気を持つサウンドから、ジャケットのイラストタッチも含め、てっきりアメリカのバンドだと思ったらスコットランドグラスゴー出身の3人組だと。正直グラスゴーとは思わなかった。自分の耳はかなりUK寄りという自覚があったのだけど、このアルバムからはUKっぽいひねくれた感じは無い。すごくあっけらかんとしているのだ。こういうバンドが突然変異的にポンと出てくるから、ロックというのは面白い。