無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

確かに響いていた。

THE BACK HORN KYO-MEIワンマンツアー〜命を響かせる夜〜
■2007/06/24@札幌ペニーレーン24
 実に、バックホーンのライヴを見るのは『心臓オーケストラ』のツアー以来だから、4年ぶりくらい。その時の彼らは、野性味ある緊張感の中、轟音の塊を客席に向ってぶつけるだけという、それはそれで凄まじいライヴだった。『THE BACK HORN』の曲を中心に、過去の曲も演奏された今回のツアーは、かなりバンドの立っている位置が変化していることを感じさせた。フロアが圧倒的に盛り上がっているのは同じなのだが、その背景にある空気が全く違うのだ。この日感じたのは、単純に言えば、楽しいということ。前が違うのか、というとそういうわけではないのだが、楽しいというよりは、抑圧された感情を発散させるような感覚だったと思う。この日は、そうではなかった。発散ではなく、解放に近いといえば良いか。ステージから発せられる熱量は変わらないが、フロアを含めた会場全体に満ちた空気は、非常に陽性のものだった。
 当然、この変化は、バンドが音源として辿ってきた変化とシンクロしているものだ。自分たちでもどう処理していいのか分からない感情の高ぶりをそのまま叩きつけるしかなかったかつてのバックホーンから、歌うべき歌を正しく聞き手に届けることを選択し、そのためにどうすればよいかを模索している現在の彼らでは、ライヴという生の表現で違いが出ないわけはない。本編の「枝」という、ひとつの結論に向って過去の曲も含めてじっくりとストーリーが練られていく様は、1曲1曲がもたらす興奮以上に素晴らしいものだった。後ろの人が暴れてついた僕の肩のアザ以上に、心にしっかりと刻みついたものだった。

■SET LIST
1.敗者の刑
2.ゲーム
3.ブラックホールバースデイ
4.セレナーデ
5.フリージア
6.カラス
7.舞姫
8.美しい名前
9.ハロー
10.航海
11.上海狂想曲
12.無限の荒野
13.声
14.光の結晶
15.枝
<アンコール>
16.サイレン
17.コバルトブルー