無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

普通のロックバンドとして。

100s LIVE TOUR 2007 百年来!!!!!!
■2007/07/15@札幌ペニーレーン24
 中国のお土産のような小物が並べられたステージ。ペニーレーンの狭いステージに6人のメンバーと機材が並ぶと、さすがにぴっちぴちである。『ALL!!!!!!』冒頭のままの曲順でスタートしたライヴは、前作『OZ』の曲も交えつつ、基本的にはアッパーでストレートに光と希望を照らすようなライヴだった。MC担当の池ちゃんは要所要所でメンバーを引き立てながらリラックスした空気を作っていたし、演奏も含めて、いい意味で「普通の」ロックバンドのライヴになっていたと思った。それはどういうことかというと、かつては中村一義がステージでライヴを行うこと自体が特別な出来事だったし、その後は100sとしてのライヴが『OZ』という作品世界を再現することに特別な意味があった。しかしこの2007年においては中村一義がステージで歌うことも、100sがライヴをやることも、何も特別なことではない。その上で、中村一義しか歌えない、100sしか鳴らせない歌をステージから発しようというのだ。ステージも客席も笑顔の絶えないライヴだったが、逆に、昔よりも高いハードルに挑んでいるとも言えるだろう。
 これまたアルバムと全く同じ曲順で演奏された「この荒野に〜」から本編最後までの展開はやはり圧倒的だった。今の中村一義が鳴らす光とは、とてつもない悲しみと絶望から放たれるものであり、だからこそ眩しく尊いものなのだということがよくわかった。
 アンコールはメンバーのソロコーナー。というわけで、まずは中村一義のデビュー10周年を記念して(?)「犬と猫」。中村君本人もいろいろな想いがこの曲にはあるだろうけど、聞き手それぞれにもそれは同じだろう。10年経っても色褪せないどころかさらに鋭く時代を射抜くような言葉。やっぱりすごい曲だ。歌っている中村君は何ともいえないいい笑顔だった。続いては初のソロを発表したまっちぃのアルバムから。そして、ソロプロジェクト「レキシ」を始動した池ちゃんの「Good bye ちょんまげ」がすごかった。今までのライヴの空気を全てリセットして根こそぎ持っていくような力技のファンク。客ドン引きでも押しまくるコールアンドレスポンスに次第に客も反応し熱を帯びていく。実に30分くらいやっていたのではないだろうか。ある意味ではこの日のハイライトと言っていい曲だっただろう。こういう展開も含め、100sのライヴとしての一体感を感じさせるステージだった。その成り立ちも含め、100sは普通のロックバンドとはちょっと違う。しかし、この日の客の盛り上がりは、まさにまっとうなロックバンドのそれだった。

■SET LIST
1.そうさ世界は
2.希望
3.バーストレイン
4.なぁ、未来
5.シンガロング
6.Honeycome, ware
7.Q&A
8.A
9.まんまる
10.あの荒野へ花束を
11.つたえるよ
12.蘇州夜曲
13.ももとせ
14.もしこのまま
<アンコール1>
15.犬と猫
16.クラシック
17.Good bye ちょんまげ
18.いきるもの
<アンコール2>
19.キャノンボール