無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2007 in EZO(1)〜夏の終わりのハーモニー

■2007/08/17@石狩湾新港
 ここ数年毎年のように雨の話を書いているのだけど、今年も1日目は天気がよろしくない。そして、1週間前には34℃くらいあって夜も寝苦しい日が続いていたのに、一気に気温が下がった。昼間はともかく、夜はTシャツ短パンでは明らかに寒そうな気配。予報では雨の心配はそんなになさそうだが、雲が厚くて晴れ間が出そうな感じがしない。そんなどんよりした空気の中、9回目のRSRFESは幕を開けた。今年のウチのテントエリアは入場ゲートをくぐって目の前、メイン通路沿いの位置。行きも帰りも入り口に近いので非常に楽だった。会場を見渡すと、大きな変化はまずアーステントが入り口に近いエリアに移動し、逆にグリーンオアシスが奥のエリアになった。テントエリア全体も広くなったようだ。入場にやや手間取ったけど、テントを張り終えた時点でまだ13時前。かなりいいペース。アーステント横の飲食エリアで昼食。肉まんとチャイニーズバーガー。今年はグッズ売り場もこの飲食エリアの横に移動していた。ゆっくりしているうちに開演近くなったのでサンステージに移動。
 
 一発目はDragon Ash。99年の第1回目にも出てから、何度目の出場だろう。その度にバンドの状態も音楽性も変化し続けながらデビュー10周年。時の流れは早い。今年は『INDEPENDIENTE』という傑作を発表したが、そのときのツアーを見れなかったのでここで見ておきたかった。「Develop the music」から一気に祭りの始まりを全員で祝福するかのような大騒ぎ。ラテンのリズムが会場を面白いように沸騰させる。新作モードで突っ切るのかと思いきや、「Let yourself go, Let myself go」なんていう懐かしい曲をやってくれたので驚いた。某音楽番組でこの曲を演奏(というか口パク出演だが)したときに、降谷建志はマイクをさかさまに持ち、バックのメンバーは演奏に合わせる動きすらせずに微動だにしていなかった。そんな青臭いパフォーマンスすら遠い昔に思えるほどに堂々とした、風格すら漂うステージだった。「Ivory」を挟み、「Life goes on」やドラムンベースアレンジの「Under age's song」。来月発売の10周年記念ベストを見据えた選曲だったのかもしれないが、素直に自分たちの過去と向き合っていなければここまではできなかっただろうと思う。必殺の「FANTASISTA」で盛り上がりは最高潮に。ラストは、まさかとは思ったけどなんとなく予想できた「Viva la revolution」。99年の時もラストを飾ったナンバーで10年の歩みを総括した。フェスのいちステージという以上に、そんなバンドの歴史を感じさせる内容だった。

■SET LIST(Dragon Ash)
1.INDEPENDIENTE(SE)
2.Develop the Music
3.FLY
4.Let yourself go, Let myself go
5.Ivory
6.Life goes on
7.Under age's song
8.百合の咲く場所で
9.FANTASISTA
10.few light till night
11.Viva la Revolution


 今年のRSRFESは、ひとつのアクトの出演時間が前年までよりも若干長く、50〜60分となっている。その分、アーティスト総数は減っても、一つ一つのアーティストがじっくり見れるようになった。出る側も、その辺を意識した選曲になっている気がした。サンステージ、続いてはビートクルセイダーズ。待望の新作もらしさ溢れるいいアルバムだったし、会場でもビークルTシャツ率はかなり高かったような気がする。そんな中、僕も初生ビークル。お面の裏の素顔が見たかったのです。この待ち時間のときに毎年ご一緒のnyoさんご夫妻とご対面。スタンディングエリアはかなりの人口密度になってきました。
 登場から大歓声。お面を外して演奏が始まるとさらに歓声は大きくなる。「TOXIC GORILLA」から「CUM ON FEEL THE NOIZE」と続き、つかみはOK。MCでは個人的にやってみたかった「おまんコール」も初体験。嫁も大声で初体験。オヤジギャグを交えてのSプレイ。素顔のヒダカ氏は背の低いおぎやはぎの小木のようでした。途中、ASPARAGUSの渡辺忍氏がゲストで登場し、「FAIRY TALE」などを一緒に演奏。ラストではユアソンのサイトウジュン氏が登場し、「OUR MELODY」「FOOL GROOVE」を演奏。MCでもやりたい放題だし、演奏でも幅広い交友関係を生かして充実のパフォーマンスを披露。お祭りならではという感じの盛りだくさんな内容だった。しかしオネエ言葉のカトウタロウや見た目も動きも怪しいケイタイモと、個性的なメンバー揃いである。どこまで本気でやっているのかわからないところも個人的には好き。

■SET LIST(BEAT CRUSADERS
1.〜TOXIC GORILLA〜
2.CUM ON FEEL THE NOIZE
3.DAY AFTER DAY
4.IMAGINE?
5.FAIRY TALE
6.ISOLATIONS
7.HIT IN THE USA
8.GHOST
9.TREASON
10.OUR MELODY
11.FOOL GROOVE

 続いては井上陽水RSRFESには2002年以来、5年ぶりの出演となる。若いロックファンの中には「名前しか知らないけどどんなものか話のネタにでも見ておこう」的なノリで見ていた人もいるかもしれないが、もしそうだとしたら圧倒的にぶっ飛ばされるような素晴らしいステージだった。1曲目、「アジアの純真」のイントロが流れた瞬間、スタンディングエリアに走りこんでくる人多数。ヒット曲の力は偉大、を改めて実感。今年の陽水さんはヒット曲満載のステージでサービス満点という感じだった。絢香の「三日月」まで披露するサービスぶり(しかも上手すぎる)。若い世代だと「少年時代」を音楽の教科書で知った人もいるだろう。そのオリジナルが目の前で歌っているのだ。音楽は世代を超える。「氷の世界」はなんと4つ打ちのデジタルビートに姿を変えていた。「夢の中へ」でクライマックスを迎えた後、ラストは深くブルージーに「傘がない」で締めた。8月末で59歳になろうという御大だが、老いてなお健在。今のロックを見ている目と耳で対しても普通にカッコいい。嫁と二人でそんな感想を噛みしめておりました。

■SET LIST(井上陽水
1.アジアの純真
2.東へ西へ
3.Make-up Shadow
4.リバーサイドホテル
5.三日月
6.少年時代
7.長い猫
8.氷の世界
9.最後のニュース
10.夢の中へ
11.傘がない