無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

剥き出しの未来。

9mm Parabellum Bullet “Termination Tour 08”
■2008/01/20@札幌BESSIE HALL
 札幌でライヴに行くのも本当に久しぶり(その分、向こう1〜2ヶ月は結構行く予定ですが)。なのに、ちょっとポカをしてしまいこの日は遅刻。会場に着いたときにはすでに開演していて、地下で狭いベッシーホールはSOLD OUTだけあって超満員。あまりの熱気でメガネが曇ってしばらく戻らなかった。9mmは昨年来ずーっと一番気になっていた若手のバンドだった。いろんな雑誌やメディアを見てもとにかくライヴがすごい、という話を聞いていたし何としても生で見ておきたかった。「Psychopolis」でスタートし、「Sleepwalk」まではアルバムと同じ流れ。前の方がいきなり沸騰したように跳ね上がる。確かに激しい。音ももちろんなのだけど、それ以上にステージ上のメンバーの動きが激しい。特にギターの滝。彼の動きはおかしい。明らかに常軌を逸している。何かが憑依したようにネックを振り回し、上下左右回転あらゆる方向に体をギターを揺らしまくる。それでいて細かいフレーズもきちんと弾きこなしている。なんなんだコイツは。一緒に行った嫁とも終演後ずっと話していたのだけど、このギター、上手い。そもそも彼らの曲はギターのリフがアンサンブルの核であり、時にはメロディーよりも耳に残る印象的なフレーズを鳴らしている。ライヴでも難しいフレーズをきっちり(しかもあの激しい動きの中で)弾いているのだから結構驚いた。絶対に数年後、このギタープレイに影響を受けた若いバンドが多く出てくる。間違いない。次にどうなるか分からない変幻自在のフレーズの引き出しの多さも特筆もの。ボーカルの菅原もいい。とにかくロックの色気にあふれたその鋭い眼光と顔立ちでまずロックバンドのフロントマンとしては勝ち、なのだけど、時には滝に負けないくらいの激しい動きを見せる。一転してMCの時は朴訥な好青年風になるギャップもまた。嫁にはたまらなかったようで。
 途中新曲(タイトルは公募中らしい)を挟み、後半も怒涛のグルーヴと音圧で一気に駆け抜ける。特に、「Caucasus」〜「Termination」〜「marvelous」〜「Talking Machine」の流れはすごかった。本編ラストは「Punishment」。アンコールは「Butterfly Effect」で始まり、「Mr.Suicide」「sector」という磐石の殺人セット。新作からはもちろん、今持ってる曲ほとんどやったんじゃないか。若いバンドだけど、勢いだけではない、ライブバンドとしての地力を感じさせる。4人でガッと音を出すときのバンドの佇まいがいい。オレたちの武器はこれだ、っていう明確な意思が音に現れている。バンド名から言うわけじゃないけど、ギターが銃に見えた。今のうちに見ておけてよかった。3月に複数のバンドが出るイベントライヴで再び札幌に来るのだけど、速攻チケット取ることに決定。
 残念だったのは途中、前でモッシュしてる客の誰かがメガネを落としたようで、照明つけろだのなんだの言い出して一瞬ライヴが止まってしまったこと。その後無事にメガネは見つかったらしく、「メガネ」コールも起こる等この日のちょっとしたスパイスにはなったのだけど、そもそも前に行って暴れるつもりならメガネ吹っ飛ばされないように予防措置くらい施しておけという話。そんなのは自己責任である。その一連の流れを菅原はメガネが見つかって良かったということを前置きし、「これでもしメガネが見つからなかったり壊れてしまったりしたらその人は悲しい気分になるでしょ?どうしてオレはメガネなくなったっていう時に3分くらい待ってやれなかったのかって・・・」と自分を責めるような言い方をしていた。自ら好んでモッシュに飛び込んでおきながらメガネなくしたと騒ぐアホには勝手に死んでろと言いたいが、菅原卓郎という人がどういう姿勢でファンと音楽に向かっているのか、そしてどうしてああいう哀しくも美しく世界を暴く歌詞が書けるのか、その一端に触れた気がするエピソードだとは思う。
(以下セットリスト)

■SET LIST
1.Psychopolis
2.Discommunication
3.Heat-Island
4.Sleepwalk
5.interceptor
6.Sundome
7.Battle March
8.新曲
9.新曲
10.The World
11.砂の惑星
12.Heat-Shaped Gear
13.Caucasus
14.marvelous
15.Talking Machine
16.Termination
17.Punishment

18.Butterfly Effect
19.Mr.Suicide
20.sector