都会の大人の嗜み。

TOKYO CITY RHAPSODY(DVD付)

　2年半近くぶりになる椿屋四重奏のフルアルバム。この間、メンバーが一人増えて本当に四重奏になったり、メジャーに移ったりといろいろ変化はあったようだ。そして、その変化がそのままサウンドに落とし込まれたのが本作だ、と言えると思う。
　メンバー（ギター）が増え、中田裕二によるキーボードが多用されていることでサウンドに厚みが増し、カラフルになった。基本的には歌謡ロックとでも言える彼らのスタイルに変化は無いが、全体にファンキーさが出たように感じる。歌詞に描かれているのは東京を舞台とした男女の交わりがほとんど。ラブソングであるが、性的な想像を喚起する表現もあるし、その関係は大人のそれである。淫靡でセクシャルではあるが引いてしまうほどどぎつくもない。夜が似合う大人のアーバンロックとでもいう音になっている。前作のように中途半端なロックスター像を追い求めるよりはこういう雰囲気でまとめるほうがいいと思う。
　エッジーなギターロックも彼らの魅力だと思うし、メロディーには歌謡曲っぽさもあるし。今作ではそれがいいバランスで出てきていると思うけど、一回客観的な視点で見てみるのもいいのかもしれない。プロデューサーつけるとか。良くも悪くも中田裕二と言う人のワンマンバンドなんだけど、どこかで限界が来るような気がする。その危うさもまたこのバンドの特徴なのかな。スタイリッシュでファンキーなロックになっていると思うけど、マルーン5みたいな隙のなさまでは行かない、みたいな。