無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ACIDMANどうでしょう。

ACIDMAN LIVE TOUR “LIFE”
■2008/06/28@Zepp Sapporo
 ACIDMANのライヴを見に行くと必ず思う感想というのがあって、「演奏が上手いなあ」ということ。我ながら何だそれはと思うのだけど。僕自身は専門的な技術知識があるわけではないので、もちろん漠然とした印象の話でしかないのだけど、3人のみというごくシンプルな編成でありながら、ACIDMANのライヴでは意図的なものを除き音の隙間というものをほとんど感じたことがないのだ。アンサンブルのスカスカさを上手く利用して音を組み立てるバンドもいるが、彼らはそれとは全く逆の方法を取っている。ギターのフレーズにしても、ドラムのオカズにしても半ば強迫観念的に音を積み重ねていく。
 この日のセットでも、実質オープニングの「REMIND」から「Ride the wave」あたりまでの序盤はゴリゴリのアンサンブルで一気に観客を羽交い絞めにするようなスタートだった。そして「river」や「スロウレイン」(特にイントロ〜Aメロ)でふっと音数が少なくなった時、気圧の低い方に空気が吸い出されていくように逆にまた引き込まれてしまうのだ。恒例となっている中盤のインスト曲は「彩」でちょっと意外だった。新作以外の曲はどれも意外と言えるような選曲で、例えば「赤橙」や「波、白く」「アイソトープ」「飛光」などの定番人気曲をあえて外したのでは、という気もする。新作からは全曲やっていたのだけど、それでもだれる所がなかったのは新作の曲の良さと、ファンがそれを受け入れたという証拠だろう。特に「FREE STAR」ではミラーボールを使った演出もあり、盛り上がりもピークに達していた。本編最後の曲の前には、これまた恒例の大木伸夫自身による曲解説と真摯なメッセージが長々と語られる。ライヴの流れをぶった切ってまでこうしたことをやるのは、それだけきちんと伝えたいという思いの表れである。個人的にはそういう熱さが好きでACIDMANを聞いているところも、正直ある。アンコールは『創』から2曲というなかなか懐かしいセレクトで、嬉しい。押すところは押して、引くところはきっちり引く、そんな緩急の付け方が絶妙な2時間だった。
 そして一悟のMCはいつにもましてダメで、オチがオチてなかったりとかなりのグダグダっぷりだった。(大木にもかなりツッコまれていた)。ドラム叩くといいのにねえ。CANOPUSのドラムを使うドラマーは多いけど、個人的には、その中でもいい音だと思っているんだよね。そして札幌ということでやはり大木の「水曜どうでしょう」話。2月にイベントで札幌に来た時に、かの有名な「どうでしょう」藤村Dと初対面し、意気投合。飲み友達になったらしい。その時の話を嬉々として語り続けるのである。
どうでしょうファン大木にとっての聖地・札幌。盛り上がらないわけはない。素晴らしい夜でした。

■SET LIST
1.LIFE(the beginning)〜SE〜
2.REMIND
3.ストロマトライト
4.swayed
5.Ride the wave
6.river
7.式日
8.スロウレイン
9.街の輪郭
10.彩-SAI-(前編)
11.彩-SAI-(後編)
12.room NO.138
13.WALK
14.オールドサンセット
15.FREE STAR
16.金色のカペラ
17.world symphony
18.ある証明
19.UNFOLD
20.TO THE WORLD’S END
<アンコール>
21.シンプルストーリー
22.Your Song