無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

お中元fromバンプ。

present from you

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 BUMP OF CHICKENのシングルカップリング集。彼らは基本的にアルバムアーティストだと思うのだけど、シングルはその時その時の活動における重要なポイントとなる曲が多く、カップリングもまた例外ではない。ライヴでも重要なレパートリーとなっている曲もあるので、こうして1枚にコンパイルされるのはシングルを毎回買わないようなファンにとってはありがたいだろう。シングルを買っているファンにとってはじゃあいらないのか、というとそうではなく、新曲「プレゼント」がこのアルバムの最大の聞き所。『THE LIVING DEAD』の「Opening」と「Ending」が実は1つの曲だったという、その大元の曲を当時のデモのままのアレンジで録り直したらしい。なるほどこういう曲だったのかという思いとともに、タイトルも含めてここに収録されたカップリング曲全てが彼らからの贈り物のような気持ちになってくる。
 元々藤原は「カップリングはカップリングであって、シングル曲の隣にいるから意味がある」と言うようなことを言っていたと思う。にもかかわらずカップリング集を出すことの意味を各メディアで発言していたが、潔癖なファンからはそれらの発言を批判する向きもあるようだ。ぶっちゃけ、くだらないと思う。いろいろな経験を経て時間がたてば考え方ひとつ変わることくらいいくらでもあるだろうし、逆にそうでなければおかしい(人間だもの)。それを過去にあんなこと言ってたくせに裏切られたとかがっかりしたとか、お前らは何様なんだという感じだ。それでここに収録された各曲の意味や価値が変わるというのだろうか。僕はそうは思わない。ファンというのは身勝手なものなので、勝手に対象のイメージや人間性を自分の都合のいいように解釈して納得してしまうものだけども、それによって視野が狭くなってしまうのはアーティストにとっても当のファン本人にとっても不幸なことに思える。
 重要なのは音楽である。それを真摯に届けるという意味において僕はバンプに裏切られたと思ったことは一度も無い。このアルバムもそういうものだ。