しかしジャケット写真のやる気無さよ。
- アーティスト: Weezer
- 出版社/メーカー: Geffen Records
- 発売日: 2008/06/03
- メディア: CD
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前作から引き続いてのリック・ルービンによるプロデュース曲はウィーザーらしいパワーポップを非常にざっくりとした感触で快活に鳴らしている。アルバムとしてフックになっているのはむしろジャックナイフ・リーのプロデュースによる2曲。U2やブロック・パーティー、R.E.M.の近作での彼の仕事もそうだが、エッジの効いたギターサウンドとシャープなリズム処理が際立っている。曲として最も印象深いのは2曲目の「ザ・グレイテスト・マン・ザット・エヴァー・リブド」。テンポやメロディーが次々と展開して行き、アレンジもいわゆるパワーポップの枠組みからは大きく逸脱している。例えるならグリーン・デイが『アメリカン・イディオット』で発明したパンク・オペラ的な手法をウィーザー風にやってみたという感じか。そのくらいの様々なアイディアが1曲の中に押し込められている。間違いなく本作での一番の聞き所だと思う(それを惜しげもなく2曲目にポンと出してしまうところがいい)。パットによる「オートマティック」、ブライアンによる「ソート・アイ・ニュー」などリヴァース以外のメンバーによる曲も充実していてバンドとしてのウィーザーの好調ぶりを感じさせるアルバムでもある。しかし前述のようにそれを「どうだ!」と気張るのではなく自然体でスッと出すあたりに彼らの成長と逞しさすら感じる。何にしてもリヴァースはいろんな経験を経てそれなりにタフになったのだなあと思う。この強かさというか大らかさというか、「泣き虫ロック」などと言われていた初期の頃とは隔世の感だ。もう彼も一児の父親だし、当たり前なのかもしれないけど。ボーナストラックとして収録されているザ・バンド「ザ・ウェイト」のカバーも無理した感じがしないのが何よりの証拠。
個人的には彼の音楽遍歴を凝縮したような「ハート・ソングス」が泣ける。曲中にいろいろなミュージシャンの名前が出てくるが、リヴァースがそう歌うように、ウィーザーを聞いて青春時代を過ごした人間もまた数多くいるのだ。そんな当然の事実がとてつもなく感動的だ。でも正直日本盤ボーナストラックの「メリクリ」(BoAのカバー)は要らなかったな・・・。