無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ヒート・アイランド。

9mm Parabellum Bullet VAMPIRE EMPIRE TOUR 08/09
■2008/12/06@札幌ペニーレーン24
 今年見た最初のライヴは1月の9mmだったのだけど、今年の最後も9mm。そして前回はベッシーホールだったのが今回はペニーレーン。確実にグレードアップしている。ツアー会場がZepp Sapporoになるのもそう遠い話ではないだろう。今回の公演は10-FEETとの対バン。今回のツアーでは基本対バン形式で回っているみたいで、他の会場ではミドリやORGA YOU ASSHOLEなんかの名前もある。10-FEETがゲストで来るのは札幌と帯広の北海道2公演のみのようだ。両方ともファンという人も多いと思うが、会場を見ると9mmTシャツの他に10-FEETTシャツの人もかなりいる。キャリアや実績で言えば10-FEETのほうが上なわけで、かなりチャレンジングなゲスト対バンだと思う。客にとってはかなりおいしい組み合わせ。
 個人的には10-FEETのライヴはきちんと見たことがなかったので良かった。「STONE COLD BREAK」で始まり、「goes on」、「river」など代表曲をきちんと押さえたアゲアゲの展開。持ち時間は約45分で、ほとんどフェス仕様という感じのステージだった。北海道のローカル番組「ハナタレナックス」のテーマ曲「4REST」は特に盛り上がったような気がする。10-FEETって、その辺のいわゆる青春パンク(もう死語か)的なバンドとはちょっと違うと思っていたのだけど、実際にちゃんと聞いてみると音選びのセンスがすごくいいと思う。誤解を恐れずに言うと、Dragon Ashに近いものを感じる。MCはコテコテだが、サウンドは非常に洗練されている。ライヴの運び方も実に上手い。キャリアのあるバンドはやっぱり違うと思った。
 最前線軍団はすでに汗でびっしょりになっている。前半ここまで盛り上がって9mmは大丈夫なのだろうか?とも思ったが、全くの杞憂だった。1曲目「Living Dying Message」から、あっという間にフルスロットル。新作の曲中心に一気に加速し、そのまま成層圏を突っ切って宇宙に飛び出そうかという勢い。滝と中村はスキさえあれば楽器を放り出して暴れようとしている。それでも、きちんと重要なところでは弾いている。この差し引きが絶妙である。ライヴにおいて「楽器を弾かない」というプレイがあることを9mmのライヴで知って目から鱗が落ちる思いだったのだけど、その技はいよいよ熟練の域に入ってきているようだ。アルバムでも顕著だった菅原と滝のハーモニー(ギターだけでなく、ボーカルも)は暴れながらもやるべきところは押さえられていてライヴでのサウンドに一層の厚みを出している。滝と中村がプレイを放り出している間、かみじょうのドラムと菅原のギターが命綱なわけだが、菅原のギターはやっぱり地味に上手いなあ、と思った。滝というあまりにも突出したギタリストが隣にいるから目立たないが、その辺のバンドならギターだけで十分やっていけるんじゃないかと思う。
 MCでは、前の晩飲みに行った店で店員さん同士がかけあっていた「オイサー」という掛け声が気に入ったということで客席と「オイサー」コールアンドレスポンス。「オレがオイサーつったら皆もオイサーって言ってね」と菅原。思い出したような「オイサー」コールは最後まで何度も続いた。対バン形式なので、持ち時間は若干9mmの方が長いくらいで、ほぼ対等。アンコール入れて1時間くらいなので曲数としては前回のツアーよりも少ない。その分、圧倒的な密度で一気に最後まで突っ走るような、ペース配分?なにそれおいしいの?みたいなライヴだった。見てる方も途中で息は苦しいわ水がほしいわ体力の限界に挑戦という感じ(周りは若いけどこっちはもう四捨五入で40だし・・・)。特に本編ラストの「We are Innocent」から「Termination」、「Discommunication」という流れはBPMの速さもあって死にそうだった。真ん中から後ろくらいで見ていたはずなのに、汗びっしょり。
 アンコールでは10-FEETのTAKUMA氏が再登場。10-FEETも企画に関わったメタリカのカバーアルバム『METAL-IKKA』に収録された「Motorbreath」を共演。ホントのラストは「Punishment」。殺人的なスピードで一気にブッ飛ばしてあっという間に終わった。いやあ、なんだろう。この、スポーツでもやったかのような爽快感(と疲労)。久々に我を忘れるくらいに盛り上がった。12月の札幌は当然だが寒い。外に出るやいなや皆の体から一気に湯気が立ち上る。こういう光景も久々だ。そのまま歩いてると汗でびっしょりのTシャツが凍ってしまいそうだったので急いで会場で買った新しいTシャツに着替えた。年明けて2月に「BIG AIR」で再び10-FEETと共に来札することも発表された。その時も、一気に湯気が立ち上るような熱いライヴになることだろう。

■SET LIST
1.Living Dying Message
2.Hide & Seek
3.Trigger
4.Wanderland
5.Wildpitch
6.Vampiregirl
7.Keyword
8.The World
9.悪いクスリ
10.We are Innocent
11.Termination
12.Discommunication
< アンコール>
13.Motorbreath
14.Punishment