デジャヴ。
- アーティスト: SHERBETS
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2008/10/29
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
音楽的にも安定はしていると思うが、マンネリ感は否めない。シャーベッツのサウンドは福士久美子のキーボードやコーラスがフィーチャーされる分ソロやJUDEよりもカラフルではあるが、火花が散るようなバンドのテンションはあまり感じられない。語弊を恐れずに言うと、僕はブランキー解散後のベンジーのソロ活動で最も優れた作品はAJICOの『深緑』だと思っている。今思うと、あれはベンジーというアーティストに対抗し得るUAというシンガー/作詞家がいたことによって化学反応が生じた結果だったのだろう。シャーベッツには(その他のベンジーの活動にも)そういう存在がいないのだと思う。ベンジーの中にある世界は精度よく再現できても、それを飛び越えた表現を生むための触媒となり得る他者がいないのだと思う。ブランキー・ジェット・シティというバンドが存在したことがいかに奇跡だったのかを改めて感じる。
誤解しないでほしいのだけど、このアルバムはいいとは思う。こんなネガティブな感想を書かれるレベルじゃないのは確かだろう。「Fire Bird」は文句なしにカッコいいし、「KODOU」も感動的だし、「Jamaican Dream」は楽しい。が、ここにある物語はすでに僕が知っているものばかりだ。僕の目の前の世界を塗り替えてくれるものではなかった。こういう既視感が積み重なったことと、多作過ぎるがゆえに追いつけなくなってしまったこと。同じような理由で「ブランキーには夢中だったけど、今のベンジーはあまり・・・」という人は少なくないのじゃないだろうか。