オリジナル・レイヴの逆襲。
- アーティスト: Prodigy
- 出版社/メーカー: Take Me To The Hospital
- 発売日: 2009/02/24
- メディア: CD
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そういう連中から解き放たれた解放感と、連中に対する怒りと、最高のサウンドの新作を作ったという喜びがアルバム全体からだだ漏れている。『ファット・オブ・ザ・ランド』を頂点と考える人間が聞いて素直にそれに匹敵するものと思える強靭なビートとアグレッシブなサウンドが満ちている。サウンドにはどこか彼らの出自であるレイヴの匂いがする音色やビートが感じられ、図らずも彼らが不在の間に勃興した「ニュー・レイヴ」というムーブメント(もうすでに下火だが)へのオリジネイターからの回答とも聞くことができると思う。そしてリアムが1人で作った前作と3人で作った本作で最も違うのは周囲への攻撃性、平たく言えばパンキッシュであるかどうかだ。プロディジーというのは優れたミュージシャンによるソロプロジェクトで成り立つようなものではなく、あくまでもロックバンドなのである。メンバーが揃わなければその力を十分に発揮できないし、3人が揃うことで初めて世界と戦う体制が整うのである。
前作のタイトルを直訳すると「いつでも数では負けているが、火力では負けない」ということになる。メンバーがバラバラでリアムが一人で作ったアルバムでも、何者にも屈しないメンタリティだけはプロディジーの核として持ち続けていたわけだ。こうしてバンドとして復活した今だからこそ、前作のタイトルも意味深く感じられるような気がする。