ヒッピーに捧ぐ
お別れは突然やってきて、すぐに済んでしまった。
正直、『シングルマン』も『ラプソディー』も、リアルタイムじゃない。僕はそんな世代の人間である。最初にRCや清志郎を認識したのはせいぜい「い・け・な・いルージュマジック」や「サマーツアー」のあたりだし、忌野清志郎という人のすごさを直接知らされたのは結局は『カバーズ』であったりタイマーズであったりする。それでも、わかったような顔して「トランジスタラジオ」や「スローバラード」や「雨上がりの夜空に」を聞いていたのだ。それだけでロックを手に入れたような気がしていたのだ。
日本語のロックというものを僕に教えてくれた偉大なミュージシャンであることに間違いはないが、本当にその大きさがわかったのは20代後半になってからだと思う。少なくとも、就職してしばらくたってからはじめて「いい事ばかりはありゃしない」という曲の本当の凄さを知った。
今さらどうにもならないのだけど、なぜ、昨年の武道館に行かなかったのだろうと思う。行こうと思えば行けたのに。またいつかどこかで彼の姿を見ることができるとタカをくくっていたのだ。あのときの自分をひっぱたいてやりたい。もう彼の歌う姿をこの目で見ることはできない。悲しい。58歳。早すぎる。いやな予感はしていたが、まさかね。こんなに早くとは。
自分が40、50歳になれば、もっと彼のすごさを知ることができると思う。とりあえず、そう思いながら彼の残した曲を聞き続けて行きたいと思う。
今までありがとう、清志郎。これからもよろしく。
心からご冥福を祈ります。
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