不況に負けないバンド。
- アーティスト: 怒髪天,増子直純
- 出版社/メーカー: インペリアルレコード
- 発売日: 2009/04/22
- メディア: CD
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タイトルからして小林多喜二の「蟹工船」ブームに乗ったみたいな感じだが、先行シングル「労働CALLING」(タイトルだけで勝ち)に見られるように、まさに労働者のためのアルバムというのがテーマになっている。元々怒髪天の中にセレブ的な要素など無いに等しい(すみません)が、彼らの持つ庶民性がいい形で音になっていると思う。「ロクな仕事にも就けねぇ」「働いても働いても暮らしは楽にならねぇ」「でも、生きていくしかねぇ」という、苦しい庶民の生活を力強く、そして前向きに歌い上げる。日本のロックシーンにおいて怒髪天にしかできないような、泥臭いアルバムである。「労働CALLING」のやけくそなパワーや「全人類肯定曲」の清々しい開き直りなどはまさにそういうテーマの曲で、アルバム全体のムードを形作っている。それに「よりみち」や「うたのうた」のセンチメンタルな曲が彩りを添え、「GREAT NUMBER」「マン・イズ・ヘヴィ」のロックンロールは推進力を与えてくれる。30分弱と短いながら各曲とも粒が立っていてメリハリがあるし、コンパクトにまとまっていていいアルバムだと思う。
しかし怒髪天にはブルーカラーが良く似合う。100年に一度の大不況と言われる今、こういうアルバムを狙って作ってしまえるのは彼らの強みだと思う。