無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

12本の狂ったガットの振動。

11:11 (Dig)

11:11 (Dig)

 メキシコ出身の男女ギター・インスト・デュオ、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラのメジャー2作目。全11曲それぞれが彼らのリスペクトするアーティストに対するオマージュとなっていて、半ばコンセプトアルバム的なつくりとなっている。その対象はサンタナやジミヘン、ピンク・フロイドと言ったロック・グレイツからメキシコのミュージシャンまで、彼らの幅広いバックグラウンドを垣間見ることができる。
 ジミヘンに捧げた「バスター・ヴードゥー」がまさにジミヘンであるように、各々の曲がその対象に合わせてキャラ付けされていて面白い。彼らのリスペクトが全体に感じられて、激しい部分はありつつもどこかしんみりとした印象が漂うアルバムだと思う。ただ、こういう企画はやはり小手先のものでしかないので、基本は彼らのパッション溢れるギタープレイとアンサンブルの妙に聞き惚れるのが正しいと思う。そういうコンセプト有りきで製作されたからか、本作は前作『激情ギターラ!』(いつ見ても呆気にとられるほどの酷い邦題)に比べて曲そのものの魅力に欠ける気がしなくもない。「Diablo Rojo」のような奇跡の1曲がそうそう生まれるわけもないとは思うのだが、もう少しソングライティングを練りこんでほしかった。
 しかし彼らの真髄はやはりライヴである。CD音源だとどうしても大人し目の印象になってしまう。ライヴのプレイを見ると元々へヴィメタのバンドをやっていたというのも頷けてしまう。ロドリーゴのプレイは、要するにヘヴィメタの速弾きソロなのだ。なので、これから彼らの音楽に触れるという人には本作ではなく、前作かライヴ盤から入ることをお勧めします。
Live in Japan (W/Dvd)

Live in Japan (W/Dvd)