真っ直ぐな理由。
- アーティスト: 曽我部恵一BAND
- 出版社/メーカー: ROSE RECORDS
- 発売日: 2009/06/09
- メディア: CD
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曽我部恵一のソロデビューシングル「ギター」の中に「戦争にはちょっと反対さ」という一節がある。本作のラストに収録されている「永い夜」には、それに対応するような一節がある。「戦争はたぶんなくならないんだろう」。数年前よりもさらにシニカルになった物言い。しかし、前者ではその後がアコースティックな弾き語りで「ギターを弾いている」だけだったのが、今は「僕は祈る 僕は祈るぜ」とシンプルなアンサンブルで真っ直ぐに叫ぶのだ。
普通に生きていればうまくいかないこともあるし、暗い気分になることもある。年を取るに従って生きることはどんどん面倒になっていき、重い荷物は増えていく。そんなことは当たり前だ。曽我部だって、バンドのメンバーだって、聞き手だってそれは同じなのだ。しかし、自分たちの曲が流れている3分間はそういうことは忘れてしまおう。忘れたい。忘れさせたい。ソカバンの音はそんな真っ直ぐな気持ちの上に成り立っている。そして、そこにこそロックンロールのマジックは宿るのじゃないかと思う。前述の「永い夜」の疾走感溢れるコーラスはその最たるものだ。本作が出てから、まだ僕はソカバンのライブを見ていないけれど、この曲を曽我部が熱唱しているのを見たら速攻で泣いてしまう自信がある。