より、核心に向けて。
- アーティスト: Arctic Monkeys
- 出版社/メーカー: Domino
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: CD
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00年代におけるアークティック・モンキーズの新規性というのは、例えばインターネット、特にマイスペースなどでの曲配信によるレコード会社を経由しない独自のファンベースによる広がりなど、バンドのあり方そのものに由来するのだと僕は考えていた。それは間違いではないとは思うが、それだけではなかったのだ。リバティーンズ直系のロックンロール・リバイバル的で性急なガレージ・ロックと思っていた音は本作で前述のような、重心の低い大文字のロックに変貌した。その根底にあるのはブルースである。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョッシュ・オムのプロデュースの力もあるのだろうが、彼らのロックバンドとしての核がここに来て形になったと見るのが正解だろう。彼らにとってロックとは夢や幻想ではなく、紛れもない現実そのものだったということだ。
歌詞も、イギリスの若者の日常やその裏の感情を赤裸々に書くようなものから、もっと広い視点から世界で起こっていることを反映するものになっていると思う。その分抽象的になったとも言えるが、より核心に近づいている。優れたロックは時代を映す鏡である。確実にアークティック・モンキーズはその道を歩んでいる。