無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

愛し愛されて生きるのさ。

 小沢健二が13年ぶりにツアーを行うことが発表された。『毎日の環境学』が発表されたときのように、突然公式サイトがオープンしたようだ。サイトには小沢健二のインタビューが掲載されている(今読めるのは途中までで、以降続いていくらしい)。聞き手は「うさぎ!」とある。言うまでもなく、小沢健二が2005年から連載している小説のタイトルであり、その主人公である。このインタビューもフィクション的な自作自演のようなものではあるが、ツアーのメンバーやコンサートをどういうものにしようと思っているかなど、一応、彼の口から語られてはいる。それによるとメンバーは中西康晴、中村キタロー、木暮晋也、真城めぐみスカパラホーンズ、沖祐市東京スカパラダイスオーケストラ)、及川浩志など。つまり『LIFE』からその後のシングル群をレコーディング、ツアーしたときのメンバーが中心となり、故・青木達之に代わり白根佳尚が参加するらしい。曲も当然、その時期のものが多くなると言う。

 これはもちろん興奮することなのだが、なぜ今?というのが疑問。今の彼は音楽家としては完全に開店休業状態。ここ数年は「うさぎ!」のテーマにもあるようにアメリカ的な資本主義とグローバリゼーション、国家やメディアによる情報統制などに関心を寄せ、アフリカや南米を中心に市民活動的なフィールドワークを行っているという噂だった。前述のインタビューでも時々そちら方面に話が脱線している。ということはどうやら彼自身の思想に大きな変化はないと思われる。
 なぜ今『LIFE』期の曲とメンバーでツアーなのだろう。そもそも、ずっと人前に姿を現さなかったのに、なぜ今ツアーなのだろう。インタビュー内では新曲の可能性と、それと当時の楽曲が「つながればいいな」ということを話している。そうなれば素晴らしいと思うし、仮にそうでないとしても『LIFE』というアルバムの普遍的な輝きが再確認できるようなものにはなると思う。
 万難を排して目撃したいと思う。

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