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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

高カロリーの夜。

THE BACK HORN KYO-MEI大会  Guest:GOING UNDER GROUNDサンボマスター
■2010/02/17@札幌ペニーレーン24
 バックホーンの対バンツアーである「KYO-MEI大会」。「KYO-MEI」というのはバックホーンのバンドとしてのテーマのひとつで、単独のツアーでも対バンツアーでもこのタイトルを冠することが多い。オーディエンスとの「共鳴」だけではなく対バンとの「共鳴」も含めて、自分たちの力だけでは得られないひとつ上の音楽体験を目指すと言う意味があるのだと思われる。今回は各地区で複数のバンドとの対バンを行うという非常に豪華なツアーとなっている。札幌でもこの前日にBIGMAMAとUNLIMITS、19日にはZepp SapporoACIDMANMASS OF THE FERMENTING DREGSとの対バンが行われている。本当は全公演見に行きたいところだったのだけど、都合で泣く泣く17日のみにした。
 トップバッターはGOING UNDER GROUND。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの「パワー・オブ・ラブ」(懐かしい)に乗ってメンバー登場。オープニングは松本素生とサポートのキーボード2人による「センチメント・エキスプレス」からスタート。僕はメジャーデビュー当時の彼らが非常に好きで、アルバムで言うと『ハートビート』あたりまではきちんと聞いていたのだけど、それ以降はあまり追いかけていなかった。実際、バンドとしてもいろいろ迷うところもあったようだ。この日のライヴは続く「ランブル」や後半の「グラフティー」、「トワイライト」などその当時の曲が多く演奏されて個人的にはとてもうれしかった。途中、松本素生のソロプロジェクト「SxOxU」にも参加したbloodthirsty butchers田渕ひさ子が登場といううれしいサプライズもあり。これだけのメンツの対バンとなると、どんなバンドでもそれなりに緊張したりどう自分たちの空気を作るか考えたりするものではないかと思う。この日のGOING UNDER GROUNDは彼らの武器である青春胸キュンロックを実に誠実に演奏していた。本当のラストはドラムの河野が地元の中学のために作ったという校歌を弾き語りで演奏したのだけど、それもまた非常にほのぼのとしたものだった。後に出てくる2バンドがおよそほのぼのという形容詞からはかけ離れたバンドだけに、彼らの個性を十分に感じることができた。

GOING UNDER GROUND
1.センチメント・エキスプレス
2.ランブル
3.Heavenly
4.Summer’s gone
5.暗夜行路
6.グラフティー
7.トワイライト

 続いてはサンボマスターゴダイゴの「モンキーマジック」に乗って登場。前のGOINGとは真逆に、暑苦しいまでに己の想いをストレートに観客にぶつけてくる。ギャップがありすぎるからか、異常に楽しかった。来るべき新作のモードを反映していると思われる楽曲は、「世界を〜」「できっこないを〜」、そして「ラブソング」という、最近のシングル曲だろう。しかし特に「ラブソング」である。愛する人との死別を切々を歌うこのバラードは、普遍的な愛の歌であると同時に、僕には忌野清志郎へのオマージュのように聞こえて仕方が無かった。山口のソウルフルな歌唱がそう思わせたのかもしれない。前作でも、最初にそのテーマが露になったのは「I LOVE YOU」というスペシャルなラブソングだった。男女の関係に限らない、もっと大きな意味での愛、大文字の「LOVE」の歌。それを汗まみれで唾を飛ばしながら全人類に向けて爆音で優しく鳴らすのがサンボマスターだ。ラストの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」の頃にはすっかりTシャツに汗がにじんでいた。それは彼らの愛というメッセージの濃さであると思う。

サンボマスター
1.青春狂騒曲
2.世界をかえさせておくれよ
3.できっこないを やらなくちゃ
4.ラブソング
5.光のロック
6.そのぬくもりに用がある
7.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

 いよいよ大トリ、本対バンツアー主役の登場。しかしこれだけ個性の強いバンドとの競演となると、バックホーンと言えども若干のハンデを感じるのではないかと思ったが、全くの杞憂だった。いきなり爆発、ではなく、「野生の太陽」でじっくりと場を自分たちの世界に染めた後、「罠」「声」という爆裂スピードナンバーで一気にフロアを沸騰させる。新曲も交えつつ、硬軟取り混ぜての構成は余裕すら感じさせた。「コバルトブルー」から「無限の荒野」で本編は終了。アンコールも2曲やったが、さすがに3バンドの対バンとなると時間的に短くなってしまうので物足りなさが残る。どこに向かうのか分からない野生の生き物のような不穏なテンションとバンドとしての不動の安定感が同居する不思議なステージ。今のバックホーンがものすごく充実していることが伝わるようなライヴだった。次に見るときはぜひフルサイズで見たい。贅沢を言えばそれぞれのバンドでもう1・2曲ずつ聞きたかった気もするが、十分にお腹いっぱいの一夜だった。ラーメンとカレーとカツ丼を一気に食べたような感じ、と言えば近いかも。

THE BACK HORN
1.野生の太陽
2.罠
3.声
4.桜雪
5.世界樹の下で
6.戦う君よ(新曲)
7.コバルトブルー
8.無限の荒野
<アンコール>
9.サニー
10.刃