無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

何も足さない、何も引かない。

ザ・クロマニヨンズ TOUR MONDO ROCCIA '09-'10
■2010/03/05@Zepp Sapporo
 フェスでは何度か見ているが、実はクロマニヨンズとしてのワンマンは初体験。開演前、髪ツンツンのパンク兄ちゃんがロッケンロールのスピリットに溢れた注意事項説明をしていたのだけど、あれは事務所の人なのだろうか。毎回やっているのだろうな。大変だな。仕事は人それぞれである。でも、面白かった。ロックコンサートの前説としては最高だと思う。
 アルバムと同じく「ジャングル・ジャミン」から始まったライブは、とにかくロックンロールってこれだろ、という確信に満ちたものだった。ボトムの低いリズム隊は切れ味鋭いマーシーのギターと非常にいいバランスで、シンプルでありながらも奥行きを感じさせる。簡単そうに見えてきっとカバーしようとしても上手くいかないだろう、クロマニヨンズの曲は。クロマニヨンズのシンボルマークであるでっかい手のオブジェがステージ後ろに鎮座しており、さながら石器時代のアングラ・ロック・パーティーのような様相である。『MONDO ROCCIA』の曲は全曲やり、前作までの曲がその間に配置されていた。決してシングル中心の選曲ではなく、「渋滞」などのライヴでしか聞けない曲も演奏する。特に目立ったコールアンドレスポンスなどしないのだけど、ステージとフロアの距離は非常に近く感じる。ヒロトのMCはいつものように大したことは言わない。唯一ネタらしきものはオリンピックネタで、スノーボードの國母選手は英語で言うとカントリーマアムだねというもの(それもどっかの受け売り)。朴訥としたヒロトのMCにちょっとだけマーシーがからむ。2人の間のほのぼのとした雰囲気がまた良いのだこれが。
 クロマニヨンズの曲は決してリスナーを置き去りにしない。ここに集まっている観客はロックンロールを求めているのであり、そしてクロマニヨンズの曲はそれに応えうる純度の高いロックンロールであるからだ。「グリセリン・クイーン」から本編最後の「エイトビート」までのクライマックスは超絶ものの展開。楽しすぎて泣けてきた。アンコールはシングルのカップリングを中心に、ラストは「タリホー」で終了。全25曲、約1時間40分。素晴らしく濃密な時間。いまさら比べるのも何だが、ハイロウズのライヴとはやはり少し違う。もっと、肩の力が抜けているように感じる。野球で例えるなら力任せに全力投球するのではなく、ピュッと8分の力で投げてキレが増してるとでも言うような。必要なものしかここにはない。そんなライブ。一切贅肉のないヒロトマーシーの体を見て改めてそう思った。

■SET LIST
1.ジャングル・ジャミン
2.ジョニー・クール
3.突然バーン
4.アウト
5.メガトンブルース
6.東京ジョニー・ギター
7.ゴーゴーゴー
8.酒じじい
9.恋に落ちたら
10.炭酸
11.渋滞
12.ムーンベイビー
13.フンカー
14.エロこそすべて
15.スピードとナイフ
16.悲しみのロージー
17.鉄カブト
18.グリセリン・クイーン
19.ギリギリガガンガン
20.紙飛行機
21.エイトビート
<アンコール>
22.メインジェット
23.笹塚夜定食
24.ネギボーズ
25.タリホー