無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ブンブンより愛をこめて。

■BOOM BOOM SATELITES  JAPAN TOUR 2010 1st STAGE 〜LIVE HOUSE TOUR〜
■2010/06/20@札幌ペニーレーン24
 ブンブンサテライツ、フェスでは見ていたけど、単独のライヴとしては久しぶり。年頭のベスト盤に引き続き新作が出たばかりとあってチケットはほぼ完売。開演前に何度も係員の人が前に詰めるようお願いするような状態だった。
 新作から「LOCK ME OUT」でスタート。「DRAIN」、「BACK ON MY FEET」と続き、オープニング3曲ですでに汗だくになるような興奮。「MORNING AFTER」「MOMENT I COUNT」の定番曲でさらに後押し。アレンジが若干修正されていて、新作のサウンドと違和感なくつながるようになっていた。この辺のきめ細やかさはさすが。ここまでの流れだけでもさて踊るぞ、というこちらの期待に十分応えてくれるライヴだったのだが、今回のライヴはこれだけではなかった。簡単にいうと、感動したのだ。
 キモは中盤の「VAPOUR」〜「STAY」の流れ。天国への階段を一歩一歩上がっていくように、徐々に緊張感を増していくサウンドとメロディーが、クライマックスで一気に解放されるカタルシス。強靭なサウンドとビートでフロアを沸騰させるだけではなく、エモーショナルなメロディーであたたかく感動的に包み込むような、これまでのブンブンとは一味違う体験を与えてくれるものだった。端的に、浮かんだ単語は「愛」である。「愛無き者へ」と題された新作のモードそのままの瞬間だったと思う。明らかに、過去3部作のアグレッシブなモードからの変化を感じさせる。しかし、その後のクライマックスは「EASY ACTION」と「KICK IT OUT」のキラーアンセム連発で再びフロアを熱狂させる。緩急のつけ方が素晴らしく絶妙だ。
 前述のモードチェンジというのはサウンド以外の面にも現れていた。今までは殆どなかった川島のMCや、二人がライヴ中に見せる笑顔(!)は、強靭なビートとサウンドをサイボーグのようにたたき出していたかつての彼らとは違う人間味を感じさせていた。この日のライヴが素晴らしかったのは、演奏がすごかったのはもとより、この部分が大きいと思う。少なくとも僕にとっては、ブンブンとの距離が縮まったような気がした。それはとても嬉しく、新鮮な感覚だった。

■SET LIST
1.LOCK ME OUT
2.DRAIN
3.BACK ON MY FEET
4.MORNING AFTER
5.MOMENT I COUNT
6.UNDERTAKER
7.VAPOUR
8.STAY
9.FOGBOUND
10.EASY ACTION
11.KICK IT OUT
<アンコール1>
12.PUSH EJECT
13.INTERGALACTIC
<アンコール2>
14.DIG THE NEW BLEED