無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

JOIN ALIVE感想〜2日目(1)

■2010/07/18@いわみざわ公園

JOIN ALIVE2日目。初日は1人でぶらぶら見たのだけど、この日は奥さんと一緒。初日よりもちょっと遅れて家を出たのだけど、会場に入った時間はさほど変わらなかった。駐車場に入る列が空いていたようだ。初日はキャンプサイトに入る車が多くて混んでいたのかもしれない。午後から雨の予報ではあるが、午前中はそんな気配もないほど陽が差していた。nyoさんご夫妻のレジャーシートにお邪魔してしばし談笑。
 開演が近くなった頃、スタンディングに降りて福原美穂待ち。初日同様に山本代表が登場し、初日とほぼ同じ内容の挨拶。そして彼に紹介されて、地元北海道が生んだスーパーシンガー、福原美穂の登場。バンドは現在行っているツアーメンバーがそのまま登場。ツアー初日(7/2)も見に行ったので大きな印象の違いはないが、地元のフェスでその日一発目という大役にかなり気合が入っているように見えた。「CHANGE」でガツっとかました後、「未来」「もしかして」と続く。堂々とした歌声が岩見沢の森へ消えていく。ビートルズのカバー「Get Back」から「No Warning」まではメドレー形式で、R&Bスタイルのファンキーなショウという趣で聞かせ、魅せる。まるでティナ・ターナーアレサ・フランクリン、というと褒めすぎか。このメドレーの流れはツアーのセットでもハイライトになっていてかなり効果的。ラストはしっとりと「THANK YOU」で締め。これはこれで良いと思うし、実際、若い兄ちゃんが泣きながら聞いてたのも見た。でも僕はフェスなんだから、パーッとアップテンポな曲で花火を打ち上げるように終わっても良かったかなと思った。そういう曲がないわけではないし。ともあれ、シンガーとしての破格の能力をあの場にいた人には確実に見せつけたと思う。「昨日のSuperflyよりすごくね?」と言ってる人もいた。でしょ?

福原美穂 SET LIST
1.CHANGE
2.未来-ミライ-
3.もしかして
4.Get Back
5.TOUCH & LOVE
6.No Warning(When You're Hit By Love)
7.THANK YOU

 monobrightも見たかったけど、時間的に全部は無理なのでパス。せっかく遊園地があるのだからと言うことでちょっと遊ぶことに。前回も書いたが、フェスの参加者はアトラクション回数券を割引で買うことができた。道内最大級の観覧車、というでかい観覧車に乗ってみる。一番上の方に行くとはるか遠くまで石狩平野が見渡せて、非常に眺めがいい。のだけど、風が強くて少し揺れる。よく考えたら僕は高所恐怖症の気があるのでこんな高いところにちっぽけなゴンドラでいるなんて考えられないのだった。そう思うと体がすくんできたので、奥さんに写真を撮ってもらった。ローズステージと、レジャーサイトの一部が少し見える。

 ローズ側に戻って昼飯。ORANGE RANGE、盛り上がってる。アルバムは一枚も聞いたことがないがシングルはたいてい聞いたことあってフレーズも覚えてる。やっぱそれくらい売れてたってことなんだろう。「ロコローション」とか懐かしい。レジャーサイトで寝っころがっているうちに寝てしまった。と、大歓声で目が覚める。トータス松本Bandの登場。そのままゆっくり座って見ることにする。トータスは全身ラメ緑のスーツというド派手な衣装。最近のシングル「クリア」や「ストレイト」でつかみはOK、その圧倒的な歌唱力とステージアクションであっという間に自分の世界を作り上げてしまう。素晴らしいフロントマンぶりは変わらず。ウルフルズと変わらない、と思いつつもやはりちょっと違う。ソロの方がいい意味で周りに気を使っていない、ような気がする。そのかわり盛り上がってもスベッても全部俺の責任、みたいな腹の据わり方。今のトータスは書く曲ハズレがなく、アーティストとしての能力を際限なく全解放してるような印象がある。とんでもなく重いリストバンドとパワーアンクル外して3倍界王拳みたいな。来るセカンドソロのタイトル曲「ハイウェイ・マイウェイ」から「明星」で盛り上がりピークのまま終了。やっぱりすごい。
 スタンディングに降りてサカナクション待ち。このあたりから空模様が怪しくなってきた。待っている間にポツポツと雨が落ちてくる。キーボードなどの機材に慌しくカバーがかけられる。しかし多少の雨など関係なく、スタンディングはこの日ここまでで最も高い人口密度だったと思われる。kikUUikiツアーと同様、草刈姉さんとモッチーによる太鼓デュエットからスタート。「明日から」のイントロが流れた瞬間からMAXでピークタイムに。40分という短い時間の中で、じわじわ盛り上げると言うまどろっこしいことはせず、ずっとフルスロットルという感じのセットだった。「セントレイ」「Klee」と続き、ここで「ネイティブダンサー」に。やはりこれは神曲。途中から雨が激しくなったが、それも舞台装置かと思うような貫禄。「Base Ball Bearの小出君は晴れ男なんですけど、うちらは雨バンドなんで。すみません。」そんな自虐MCも余裕の表れか。「アルクアラウンド」で何度目かのピークが来た後、ニューシングルの「アイデンティティ」に。すでにPVがYouTubeで流れているため、チェックした人も多いのだろう。すでにコーラスも口ずさんだり、新曲と思えないほどなじんでいた。「北海道でライヴをやるとやっぱここがホームだと思う」と山口は言う。道内のファンも、サカナクションが東京に行っても「おらが町のバンド」という意識でいると思う。「オレ、がんばるから。見てて。」こういう決意表明を、北海道のライヴで何度も聞いた。山口にとっても、北海道は自分の決意と覚悟を再確認する場所なのだろう。そうであり続けてほしいと思う。ラストは「ナイトフィッシングイズグッド」。山口が故郷・小樽の海をイメージして書いた、札幌時代最後期の曲。いまや堂々とセットのトリを飾るサカナアンセムとなったこの曲は、山口にとってその決意と切っても切り離せない重要な曲なのだと思う。

サカナクション SET LIST
1.明日から
2.セントレイ
3.Klee
4.ネイティブダンサー
5.アルクアラウンド
6.アイデンティティ
7.ナイトフィッシングイズグッド

 雨の中ベルベットに移動してsleepy.ab。彼らも地元・札幌の雄である。雨が降っているが気温はそこそこ高く、テントの中は非常に蒸し暑い。雨ガッパを着ているのはつらいので一旦脱ぐ。ステージではメンバー自身によるサウンドチェックが続いていた。一度袖に引っ込み、ほどなくしてライヴはスタート。「四季ウタカタ」「ドレミ」「君と背景」など、sleepy.abらしい、独特の浮遊感があるサウンドで演奏する。静かに、穏やかに揺れながら、その核には決して折れない竹のようなしなやかさがある。成山剛のハイトーンボーカルが美しいメロディーをなぞると、自然と感情の底が揺さぶられるようだ。北海道のフェスで、北海道出身のバンドが出るということで、特別な趣向を、というわけで、福原美穂が登場。地元出身同士、コラボである。福原美穂のアルバムに収録された「apologies」を共演。福原からの一方的なラブコールで実現したコラボらしいが、こうしてステージで聞けるのはなかなかスペシャルな体験だと思う。成山もそんなに饒舌なMCをするわけでもないのでいまいち会話が噛み合わなかったのはご愛嬌。両者とも緊張していたのかな。sleepy.abの演奏自体は悪くなかったと思うのだけど、このベルベットの音響は非常に悪かった。音が全方向に響きすぎて、何がなんだか分からなくなってしまうのだ。特に、sleepy.abのようにふわっとした音質を基調にするバンドにはかなり厳しかったと思う。他のバンドではそこまで気になるわけではなかったんだけど、ちょっとかわいそうだった。